盛んな姉妹都市交流

和歌山市から訪れたのは和歌山児童合唱団(以下、和児童)の団員42名、迎えたのはリッチモンド・ユース・オナー・クワイヤ(以下ユースクワイヤ)35名である。冒頭で和歌山市・リッチモンド市姉妹都市提携委員会のハンス・ハバスさん、マルコム・ブロディリッチモンド市長に続いて挨拶に立った和児童の育成会会長の岩橋延直さんが「和児童は今回24年ぶりのリッチモンド訪問。当時訪加した団員はリッチモンドでホームステイを楽しみ、それがとてもよい思い出となり、今も懐かしんでいる。この度は彼らの子供たちが参加している」と語ると会場から感嘆の声が上がった。さらに挨拶の中で一昨年の東日本大震災時のリッチモンド市からの義援金への感謝の意を述べるとともに、両市の交流については今年6月に和歌山市の中高生30名がリッチモンド市を訪問、来年はリッチモンド市のサッカークラブが、再来年にはユースクワイヤが和歌山市を訪問する予定であることを紹介。宮本レイさんによる日英・英日両方のこなれた通訳が来場者全員の理解を促した。

 

歌の心が言葉の壁を越えて

ステージ前半、和児童は、和歌山県にちなんだ『紀の国のこどもうた』から『いつつの手遊びうた』ほか6曲を多くのジェスチャーを交えて披露。ユースクワイヤはカナダの先住民の歌のほかに、日本語の歌にもチャレンジ。途中、年長グループのチェンバークワイヤにバトンが渡り、ステージ後半では白い制服に着替えた和児童が英語のポピュラーソングを歌唱。最後には両団員一緒になって『カンターテ・ドミノ変ロ長調』を合唱した。ステージは大きな盛り上がりを見せ、来場者は「とても素晴らしい!」と口々に述べた。

 

この日を皆で心待ちにしていたというユースクワイヤの指揮者ハイディ・エップさんは、自身が約30年前に和歌山市の少女のホームステイ受け入れを経験。「30年待って今度は(再来年に)自分が行けることになって本当にうれしい」と記者に興奮を交えて語った。和児童の沼丸晴彦さんは「子供たちはこのカナダ行き、特にホームステイを楽しみにしてきました」と語り、そのためにがんばって歌うように激励してきたという。
この日、日中からスティーブストンで散策やバーベキューを楽しみ親睦を深めていた両団の子供たち。コンサートを終えて賛辞に囲まれ、安堵と喜びの表情で会場を後にしていた。

 

取材 平野香利

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。