お茶を通して描かれる物語
舞台は中国と日本。昔、聖嚮(セイキョウ)という名の日本の僧侶が中国の王女ランと恋に落ちた。ふたりは古代の知恵や生の秘密が隠されているという『お茶の聖典』を作ったと言われる茶人を訪ねて旅に出る。その行く末に彼らが見つけたものは…。 恋愛や嫉妬、人は理解し合えるのかという問いがお茶を通して描かれる。
オーガニック・ミュージック
脚本・作曲はアカデミー賞受賞作曲家タン・ドゥン。彼がこの音楽をオーガニック・ミュージックと名づけた理由は、水、石、紙、火など自然の音を表現したことから始まる。
バンクーバーオペラ音楽監督で指揮者のジョナサン・ダーリントン氏に話を聞いた。「バンクーバー初演の現代オペラです。中国系の作曲家タン・ドゥンが実にうまく西洋と東洋を融合しました。
楽器が創りだす自然界の音色に耳を傾けてください。東洋の音楽要素を西洋の楽器が奏で、壮大な音の世界が広がります。プッチーニのように実に美しいメロディーラインが挿入されています。こういう旋律が書ける彼(タン・ドゥン)は天才としかいいようがありませんね。
愛と嫉妬、精神世界からのメッセージが託されたオペラ。コスチュームもエキゾチックです」と高く評価している
現代オペラ
『TEA: A MIRROR OF SOUL』は宮本亜門が演出し、セットデザインを松井るみ、衣装デザインを太田雅公が担当。2002年に東京で初公演後、フランス、スウェーデン、ニュージーランドなどでの海外公演を経て2007年にサンタフェ・オペラ、2010年にフィラデルフィア・オペラで上演された。
バンクーバーでは5月4日から11日まで4回の上演。舞台には日本人パーカッショニスト藤井はるかさん、芝山千紘さん、山下由麗さんの3人が加わる。
宮本亜門も共鳴するという『違う生き方をした人が共に生きられるか』というテーマ。従来のオペラの概念を超えた新作に、注目が集まっている。
(取材 ルイーズ阿久沢)
Vancouver Opera "TEA: A MIRROR OF SOUL"
5月4日、7日、9日、11日 7:30PM
クイーン・エリザベス・シアター
チケット:$35-165
(604) 683-0222