2019年11月7日 第45号
11月20日より、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市のグランビル・アイランドにあるWaterfront TheatreにてDeb Williams監督による「Bad Hats Theatre's Peter Pan」(以下、ピーターパン)の上演が開始される。セットデザイナーとして、この舞台設計を担当した甲斐静花(かいしずか)さんに、舞台準備の過程やピーターパンの見どころについてインタビューを行った。
ミニチュア模型を作る過程。細かい作業をこなす
セットデザイナーとは?
セットデザイナーとは、舞台や映画等で使われる空間を設計する人のことをいう。舞台装飾はもちろん、小道具等の舞台に乗っている全てを手がけるそうだ。今回の舞台はたった一つの空間で行われるのであるが、甲斐さんは約8カ月前から試行錯誤を繰り返し、準備してきた。
舞台空間ができるまで
監督のビジョンを元に、 頭の中でどのような空間に仕上げるかをイメージし、まずは紙にスケッチをする。双方のイメージを確認し合いながら、方向性を決める。そして、コンピューターを駆使して設計図を描き、ミニチュア模型を作っていく。ミニチュア模型で3次元的空間を確認し、イメージと実際のギャップを埋めながら設計図を仕上げる。その後、実際の舞台へ大工に造作してもらい、現場で実物や色彩を確認し、完成を見届けるという。
仕事のやりがいとは?
自分で想像したものが実物になることや、その想像した世界に自分が実際にいるように感じられることがとても楽しい。また、自分の想像で造られた世界での舞台をきっかけに、観客に「そんなこと考えたことなかった」と新しいことに気づいてもらえたり、様々な感情を持ってもらえたりすることに喜びを感じる。映画にはない、人対人で心を動かせることが演劇の魅力だと感じている。
ピーターパンのみどころ
「ピーターパンの舞台」と聞くと、ロープを使って宙を舞う場面などを想像する人もいるかもしれないが、今回の舞台ではロープを使用する場面はないという。小道具に頼りすぎるのではなく、役者達は全身を駆使し、たくさんのことを表現する。皆さんの想像力を存分に生かし、場面の変化を楽しんでもらいたい。
甲斐さんから子どもたちへのメッセージ
とくに子どもたちには、どういうふうに役者が体を動かして、どういうふうに遊んでいるかをよく観察してほしい。スマートフォンや電子ゲーム等さまざまなものに囲まれている世の中だが、おもちゃがなくても想像だけで遊べるということをわかってもらえたらうれしい。
読者プレゼント「Bad Hats Theatre's Peter Pan」
ペアチケットが抽選で 2名様に当たる!
詳細はバンクーバー新報パート1、5ページの応募用紙をご覧ください。
対象年齢は4歳以上となっており、子どもだけでなく、妖精を信じる人、子どものままでいたい・子ども時代が懐かしいと思っている人等、たくさんの人が楽しめる内容となっている。上演は2020年1月5日まで行われる予定。
詳細・チケットの購入は当サイトまで(https://www.carouseltheatre.ca/plays/peter-pan/)
(取材 わしのえりか)
出来上がったミニチュア模型。このデザインをもとに、ステージがデザインされる
セットデザイナーの甲斐静花さん