2019年10月31日 第44号
直傳靈氣実践者の集いである直傳靈氣北米大会が10月18〜20日の3日間、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館で開かれた。
6カ国から直傳靈氣実践者156人が集結した(写真提供:Mandy Peacockさん)
霊気、直傳靈氣とは
霊気は正式名称を心身改善臼井式霊気療法といい、1922年に臼井甕男氏が創始した日本発祥の手当て療法である。その後、臼井氏の弟子たちが霊気を広め、中でも医師であった林忠次郎氏がその伝播に大きく貢献した。そして林氏の弟子であるハワイ在住の高田ハワヨ氏によって1970年代に霊気が北米に伝わり、Reiki(レイキ)と称され、その手軽さと心身への効果から世界中に実践者が生まれている。
日本では戦後、民間療法への政治的圧力から途絶えかかっていた霊気だが、海外から1990年代に逆輸入される形で日本で再び霊気が認知されるようになった。
直傳靈氣は、林氏から1938年に霊授と呼ばれる気の流れを活性化する技を受け、65年以上霊気を実践し続けてきた山口千代子氏と、千代子氏の四男の山口忠夫氏が、林氏から継承された霊気のスタイルをそのままに伝えようと2000年に創設した「直傳靈氣研究会」が実践する霊気を指す。
直傳靈氣実践者は3万人
大会にはイギリス、ギリシャ、アメリカ、イタリア、ペルー、オーストラリア、日本の7カ国から合計156人が集まった。直傳靈氣研究会代表の山口忠夫氏は本紙の取材に応じて「現在日本国内で1・5万人、海外が1・6万人の直傳靈氣の会員がいます。2000年に千代子先生と会を設立した時、こんな広がりを見せるとは思いませんでした。たくさんの人がセミナーを受けてくれて感激しています」と語った。
「日本の文化伝統への理解」をテーマに
本大会の大きなテーマは「直傳靈氣の根底にある日本の文化伝統の理解」である。会の発起人でありBC州直傳靈氣協会副会長の岡崎真理さんが本テーマで講演を担当。その講演で真理さんは、日本人は古来より万物に神が宿ると考えていることを、しめ縄の飾られた御神木ほかを通じて紹介。また言霊思想などにも触れた後、このような世界観を前提に、霊気実践に当たっての理想的な姿勢を次のように語った。「例えば木は自然の魂を持って気の流れる存在として、ただそこにいて、そばにいる私たちを癒してくれます。霊気の実践に当たり、山口先生が日頃言われるように、私たちも相手に何か送らなくては、という態度でなく、ただそこにある気を送る無心の態度が大事であると思います」。こうして日本の精神文化を丁寧にわかりやすく伝えた講演に参加者から感謝の大きな拍手が贈られた。また大会では茶道、着付け、書道の体験会も行い、それらの準備も含め、本大会を一から作り上げてきたBC州直傳靈氣協会の役員・樋高靖子さんは「日本文化と直傳靈氣のつながりの紹介に手応えが感じられてうれしい」と安堵の表情を見せた。
霊気実践者たちの交流
大会は各国からの直傳靈氣実践者たちの交流で大いに盛り上がり、その盛り上がりはバンクーバー沖縄太鼓、バンクーバー櫻会の神輿で最高潮に達した。
オーガナイザーのBC州直傳靈氣協会メンバーとボランティアによって細やかに気配りされた本イベント。その空間に満たされていた温かみこそが千代子氏が長年家庭で実践してきた直傳靈氣そのものであると誰もが実感した3日間だった。
※樋高靖子さんの「高」ははしご高が正式表記
(取材 平野香利)
会を大成功に導いたBC州直傳靈氣協会 Jikiden Reiki Association in BCの皆さん。(左からPaul Sextonさん、河村昌子さん、 Marius Bocuさん 、樋高靖子さん、岡崎真理さん(写真提供:Mandy Peacockさん)
講演やパネルディスカッションを盛り上げた面々。(前列左から)寺島高志さん、山口洋平さん、廣田郁子さん、山口忠夫代表、Frank Arjava Petterさん、大石和美さん、(後列左から)Amanda Jayneさん、岡崎真理さん、司会の Paul Sextonさん