2019年10月31日 第44号
10月25日、JETプログラム参加者の帰国を歓迎するレセプションが、在バンクーバー日本国総領事公邸で開かれた。レセプションにはこの夏JETプログラムを終えてバンクーバーに戻った新規帰国者10人に加え、JETプログラム同窓会BC・ユーコン支部(JETAABC)関係者、日系関連組織関係者、日本語教育関係者など37人が出席。帰国者の日本での報告に耳を傾け、和やかに歓談した。
この夏帰国したJETプログラム参加者と羽鳥隆総領事(中央)
移行時のサポート
壮行会では期待と不安の面持ちだったJET参加者だが、日本での経験を経て帰国したその姿には、自信と希望があふれていた。会場では、仲良くなった者同士が、早くもおみやげ話に花を咲かせていた。
冒頭で「おかえりなさい」と帰国者を歓迎したJETAABC会長のタイ・ラムさんが「日本の生活からカナダの生活に戻るとき、大切なのはネットワーキングです」と述べ、JETAABC役員を紹介した。JETAABCでは年間を通じてさまざまな交流イベントを企画。日系コミュニティのイベントへの参加とボランティアを呼びかけた。
それぞれのストーリー
JETプログラムのコーディネーター、スティーブ・シェブリエさんの紹介で、帰国者がJETプログラムでの経験や日本での思い出を報告した。
日本人の祖母を持ち、カナダに生まれ育ったエミコさんは山形に赴任。「山形の芋煮会について報告します。川岸に直径5メートルもある巨大な鍋を設置して、里芋やこんにゃくを煮て約3万人に振舞うコミュニティ・イベントです」と話すと、いつ作ってくれるのかという期待の声があがった。
兵庫県川西市の小学校で英語を教えたディーンさんはウエストバンクーバーのハイスクール教師で、日本人の妻を持つ。「妻の国の文化や習慣、そして日本語を学びたくて、1年間休職してJETプログラムに参加しました。40代半ばでこうした経験ができたことは光栄でした。日本でハーフマラソンや10キロレースに出場してきました」とのこと。また福島市鮫川村の小中学校で2年間英語を教えたミッシェルさんは「キャンプやハイキングが好きなので、自然に囲まれた村の生活は楽しかったです。生徒にアルティメット・フリスビーを教えたら、喜ばれました」と話す。
岩手県との県境に位置する宮城県栗原市で4年間英語を教えたのは、イボンさん。2008年に1年間、仙台育英高校に留学したことのあるイボンさんは、2011年の東日本大震災に心を痛めた。JETプログラムで再び宮城県に戻ったことからコミュニティに恩返しをしたいと、休日にはボランティア活動に専念し「松島の牛タンやずんだ餅が好きです」と宮城県のグルメも満喫した。
日加の架け橋として
ランガラ・カレッジで日本語を教える林長司さんが出席者を代表してスピーチし「日本で見聞きし体験してきた興味深いことを、ぜひカナダのみなさんにシェアしてください」と述べ、最後に羽鳥隆総領事が「みなさんが日本とカナダの関係発展のために活躍してくれることを期待しています」とスピーチし、乾杯の音頭を取った。
竹内えみシェフによる美しい料理と日本酒などが振舞われ、日本でのエピソードや情報交換など、和やかなひとときが続いた。 JETプログラムについてはhttp://jetprogramme.ca/を参照のこと。
(取材 ルイーズ阿久沢)
帰国者と歓談する羽鳥隆総領事・羽鳥ユジュ夫人
美しい料理と会話を楽しんだ出席者たち
ランガラ・カレッジで日本語を教える林長司さんによるスピーチ