前回同様今回も、牡蠣の早剥き大会としては異例の高額賞金、1位5000ドルをめぐりカナダ、アメリカ、フランス、オーストラリア、アイルランド、そして日本からは唯一の女性選手、鎌島水産有限会社取締役、日本オイスター協会が認定する牡蠣のソムリエ:グランドオイスターマイスターの資格を有する鎌島典子さんなど12人の選手が招待された。
鎌島典子さんはいつも笑顔を絶やさず、明るく元気で華があり、今回のために用意した法被姿がとても粋で会場の人気を一身に集めていた。
大会参加者による最高のミニョネットコンテスト優勝者には500ドル、さらにブラディーシーザーバトル優勝者には5000ドルという破格の賞金をめぐり、メインの牡蠣の早剥き競技同様、会場全体が常に盛り上がり、観客は人生のセレブレーションを思い切り楽しんだ。
会場には日本牡蠣協会創設者の佐藤言也さんや、「牡蠣が何より好きだ。ちょっと前までPEIに牡蠣を食べに行っていた」という辻ゼンさん、ジュンコさん御夫婦がバンクーバーから。そしてゼンさんの中学時代の同級生という寺元怜子さんも日本の千葉県から来てこの大会を楽しんでいた。
牡蠣の早剥き競技は、ソーミル・ベイ・シェルフィッシュ・カンパニーにより提供されるイースタン・オイスター、ヨーロピアン・フラット・オイスター、パシフィック・オイスターの3種類の牡蠣、合計30個を剥かなければならない。ただ早さだけでなく、剥いた牡蠣の外観、身のカット状態、身の入っている殻が壊れていないかなども審査され、タイムに加算されるので、丁寧かつ確実な技術が要求される。
2時過ぎから予選ラウンドがはじまったが、招待選手は体力自慢の筋肉マン風の人から、学者風、ドレッドヘアーに髭面のヒッピー風、GパンTシャツで通りがかりのお兄さんみたいな人もいてとっても個性的で、その個性を見るだけでも楽しかったが、みんなこの大会のためにずっと練習してきて、素手あり手袋ありのそれぞれのスタイルで牡蠣を剥き続ける選手達の敢闘精神に大いに盛り上がった。
予選ラウンド終了時点で、審査委員長のピノ・チョッピーノさん、カナダ料理コンテストでゴールドを受賞したベアフットビストロのエグゼクティブシェフ、メリッサ・クレイグさん、大会オーガナイザーのアンドレ・サンジャックさんの選ぶワインによるディナー8人分がオークションにかけられ、なんと10500ドルで落札されるなどし、会場は異様な熱気に包まれつつ決勝ラウンドに向かった。
3人に絞られた決勝ラウンドでの、第2回牡蠣の早剥き世界大会の優勝はバンクーバーのオイスター・ボブさんへ贈られ、ブラッディーシーザーバトル賞はJSデュプイさん、最高のミニョネット賞はトレバー・ヒルツさんへとそれぞれ贈られた。
今回初めてこういった大会に参加した鎌島典子さんは、「すごく楽しくて素晴らしい大会だと思います」と語り、選手同士も「すごくフレンドリーで、来年も絶対にまた来ようって思っています」と語った。
また、大会会場であるリステルカナダ副社長の上遠野和彦さんは、大会の意義を「ウィスラーというのはエクスペリエンスの場所であるということ。また世界から様々なお客様が訪れるこの地で、BC州地元の食材である牡蠣を剥いてそのまま食べていただけるというような、新鮮な食材を使った食文化を広めるということ。夏の一つの風物詩としての定着。そして、昨年は震災のあとで収益金はカナダ赤十字に寄付しましたが、今回はBCチルドレンホスピタルへということで、このイベントは必ず地元に貢献できるようにと。またウィスラーだけでなくバンクーバーでも、ということも視野にいれながらこれからも企画を練っていきたいなと思っています」と語った。
(取材 野口英雄)