2019年10月3日 第40号

今年、バンクーバー日系ガーデナーズ協会(The Vancouver Japanese Gardeners Association、以下VJGA)(4291 Slocan Street, Vancouver)が60周年を迎えた。

VJGAは造園、管理、技術の向上を通じて日本庭園の促進を目指す、プロの庭師と造園家で構成された非営利団体だ。Vancouver City Hallの日本庭園や、日系文化センター・博物館の庭園等、数々の日本庭園をバンクーバー近郊各所に作庭してきた。そんなVJGAの60周年を記念し、環境活動家David Suzuki氏をキーノートスピーカーとして招いた記念講演会が行われることが決定した。そこで、VJGAの今後の目標と記念講演会の内容について、会長・岡田伸平さんと理事・金田守央さんに話を聞いた。

 

ブリティッシュ・コロンビア大学内にある新渡戸稲造紀念庭園。VJGA発足のきっかけとなった(VJGA提供)

 

VJGA発足から現在まで

 60年前、UBCの当時の学長であるNorman A.M. MacKenzie氏から、ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリアで客死した新渡戸稲造を記念し、本格的な日本庭園を作庭してほしいと、在バンクーバー日本国総領事館に依頼があり、日系の庭師に招集がかかったことが始まりだったそうだ。21名で発足し、多いときは78名で組織として活躍してきた。近年では研究部があり、作庭技術だけでなく、福祉厚生等の生活全般のメリットになるような内容で、定期的に勉強会が開かれているという。

 

庭師のやりがいとは?

 作庭を一から手掛ける造園家の岡田さんは、自分の創造したものを形として残せることや、それを見てくれた人の心にも残せることがやりがいだと語った。

 管理が専門の庭師である金田さんにとっての一番のやりがいとは、お客様に感謝されることであるという。また、「日本人の庭師」の社会的な認識度が上がってきていることを誇りに思うと語った。

 

今後の課題と目標について

 これまでの目標は、様々な手段を駆使して庭師の社会的ステータスを上げる、ビジネスとして大きくなるということだった。例えば、昔は手仕事であったものが、機械が登場し、一日に何件もこなせることが可能になった。ガスパワーの草刈り機や器具で芝を刈り、それらの恩恵を受けてビジネスを大きくすることができた。雑草や害虫も除草剤や殺虫剤で駆除してきた。

 しかし、今後は地球のことを考え、持続可能な方法を使って仕事に取り組まなければならない。生態系を破壊せず、二酸化炭素の排出量の増加を招かない、地球環境に配慮した方法・知識を習得しながら、街の景観作りをより良くしていきたい。

 

60周年記念講演 〜Keynote Speaker にDavid Suzuki氏〜

 “21世紀のチャレンジ”という題目で、David Suzuki氏による講演が行われる。人間が地球を支配してきた時代のボトムラインを考えていかないといけないというのが主なテーマとなっている。VJGA会員をはじめ、地域の人たちにも学んでもらい、地球のことを考えるきっかけになればと、岡田氏は語った。

 同講演会は、11月10日午後2時より、日系文化センター・博物館 (6688 Southoaks Crescent, Burnaby)にて行われる。入場料は大人$20、学生$10。チケットはWebサイト「Eventbrite.com」で「VJGA」で検索し購入可能。

(取材 わしのえりか)

 

VJGAが手掛けた日系センターの庭園(VJGA提供)

 

VJGAの会長・岡田伸平さん(写真右)と理事・金田守央さん(写真左)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。