2019年9月26日 第39号
9月11日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館でコスモス・セミナー(主宰・大河内南穂子)20周年の記念祝賀会が開かれ、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事と羽鳥ユジュ夫人を主賓に、会員やこれまでの講師、来賓など約80人が出席した。
コスモスの花や祝い鶴で飾られたテーブル、手書きの熨斗がついたお弁当など、細かな気配りで出席者をもてなした。
コスモス・セミナー20周年の記念祝賀会に出席したみなさん コスモスセミナー:www.cosmos-seminar.com
多くのことを学んだセミナー
コスモス・セミナーは生涯学習の集いとして2000年7月に発足。自分に足りないものを探す機会になればいい、生活の活力となる良い集いをという趣旨のもとに始まった女性の会は数年前から男性にも扉を開き、最近ではリタイアした夫婦の参加も少なくない。
「今日はわたくしもテーブルクロスも、みんなコスモスカラーでございます」と、主宰の大河内南穂子さんが冒頭で挨拶。この日のためにコスモスの鉢植えを育ててステージに飾った林潤子さん、コスモスの花を用意したデトレフセン悦子さん、お茶の支度とお弁当のお品書きを書いた荒巻典子さん、お祝いのケーキを作製した田端邦子さん、祝鶴や祝い箸袋を作製した福島誉子さんと今井ゆう子さん、ホームページを担当した写真家の斉藤光一さんなど、セミナーを支える人たちの名前を読み上げた。
「これまでセミナーで多くのことを学べたのは、準備に貴重な時間を費やしてくださった講師の方のご尽力によります。そして温かいもてなしの心を発揮したボランティアのみなさまに感謝します」と謝辞を述べた。
記念講演 『外交という仕事』 羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事
羽鳥総領事は昨年11月、バンクーバーに着任。韓国での勤務が通算9年の韓国エキスパートである。(以下、講演より抜粋)
日本という国が世界で生きていくためにいろいろな問題があり、それを外国との間で解決していくこと、よりよい世界をつくっていくことが外交という仕事だと思っています。
これまでいろいろな交渉にかかわってきましたが、1998年に韓国の金大中大統領が日本に見えまして、当時の小渕恵三総理との間で協議が行われました。この中には漁業問題など、政治的に難しい問題も含まれていました。最後は政治家同士、韓国の海洋水産大臣と日本の農林水産大臣が直接交渉し、さらに韓国側の代表が来日し、総理官邸で大きな交渉をしました。私は韓国語を話しますので、総理官邸での交渉に参加しました。すばらしい交渉に参加することができ、外交官として非常に喜ばしい出来事でした。
外務省での官僚の仕事は、相手の会社と信頼関係を築いたとか契約が取れたときはうれしいとか、民間の仕事と変わりはないと思います。国と国との間の仕事ができるという特別な味わいがあるということで、私は外交官になってよかったと思っています。今後どこの国に赴任するかわかりませんが、その国の人と友達になって、日本との関係が良くなればと思っています。
コスモス流、 細かな気配り
15期から19期の間に講師を務めた方や来賓の紹介に続き、大竹美弥さんによるハープ演奏、15周年から20周年の歩みを映像で紹介し、カナダと日本の修好90周年を記念する『We Heart Canada + Japan 90』プロジェクトで非営利団体のひとつとして選ばれ、2018年度アジア映画祭で上映されたコスモス・セミナーのドキュメンタリー・フィルム(4分)が上映された。
津田佐江子バンクーバー新報社主による乾杯の音頭のあとは、昼食タイム。各テーブルを回って、メッセージを書いたコスモスのイラスト入りカードをひとりひとりに手渡した大河内さん。細かな気配りは、発足当初から変わらない。
日系センターでの今までの形のセミナーはいったん終了となり、今後はスティーブストンに場所を移動して、新たな形で再開の予定という。
(取材 ルイーズ阿久沢 写真提供 斉藤光一)
コスモス・セミナー主宰の大河内南穂子さん。ステージには盛花とコスモスの鉢植え、テーブルにはセンターピースや祝鶴など、細やかな演出がされていた
羽鳥隆総領事による記念講演
15周年から20周年の歩みを映像で紹介。なつかしいひとこまに感嘆の声も
コスモス・セミナー役員のみなさん(前列中央が主宰の大河内南穂子さん、前列左端が記念祝賀会実行委員長の石内宣代さん、2列目右から3人目が副実行委員長の清水由子さん)
田端邦子さんが作製したお祝いのケーキ
手書きの熨斗がついたお弁当