2019年9月5日 第36号

9月13日〜28日まで、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市内でVancouver International Flamenco Festivalが開催される。日本でもブームになってきている「フラメンコ」。日本フラメンコ協会によると、近年のフラメンコ専門アーティスト及び一般愛好家の増加は目覚ましく、日本は今やスペインに次ぐフラメンコ人口を誇っているという。ここ、バンクーバーにもフラメンコ専門アーティストの日本人がいるのを皆さんはご存じだろうか。同フェスティバル、9月28日バンクーバー市グランビルアイランドのウォーターシアターでの公演「Flamenco Rosario & Gabriel Aragu」にダンサーとして出演する金子友里恵さんは、10年以上のフラメンコ経験歴をもつ。金子さんは2008年に日本の大学からBC州立サイモンフレーザー大学に編入し、同年にフラメンコと出会い、学生時代よりフラメンコダンサーとしての経験を積んできた。今回、金子さんにフラメンコショーの魅力や、その楽しみ方について話を聞いた。

 

金子友里恵さん。10年以上のフラメンコ・ダンサー経験をもつ(写真提供 金子友里恵さん)

 

フラメンコの構成は「歌う・弾く・踊る」

 「フラメンコ」といえば、カタカタと激しい靴の音をならすダンサーを思い浮かべる人が少なくないだろう。しかし一説によると、フラメンコは「歌」から始まったアートであるという。その後、歌にギターが付き、最後にダンスが付け加えられた。そういった訳から、必ずと言っていいほど、フラメンコショーには歌い手がいるそうだ。「歌」は基本的にスペイン語であり、訛りも強く理解の難易度が高いものが多いそうだ。しかし、歌い手の感情はトーンや顔の表情でしっかりと表現されるため、それを観察して、自由に想像してみるのも一つの楽しみ方なのかも知れない。

 

フラメンコの魅力 “チームワーク”

 金子さんがフラメンコを続ける理由の一つでもある、フラメンコの魅力。それは、フラメンコがチームワークであるということだ。特に、フラメンコショー本番は何が起こるかわからない。例えば、歌い手が練習時とは異なる歌い方をした際、ダンサーはそのトーンに合わせるように調整する。さらにギタリストも、ダンサーが歌い手に合わせた雰囲気をよみとり、ギターでも調整するという。また、舞台には歌い手・ギター・ダンサーだけでなく、パルメオーラという、ダンサーがリズムに乗って踊りやすいように手拍子でリズムを作りフォローをする人もいる。このように、みんなが互いにサポートし合いながら、一つの作品を作り上げるのだという。「リハーサルでは想定できなかった“今だからこそ作り上げられる空間”を観客の方に楽しんでもらえたら」と金子さんは話した。

 

「オレー!(¡OLE!)」の掛け声を観客席からもぜひ

 「(チャンチャラチャンチャーン♪)オレー!」というようなフレーズを聞いたことはないだろうか?「オレー!(¡OLE!)」は日本語で「いいぞ!」や「見事だよ!」という意味であり、舞台上では出演者間で、互いのパフォーマンスに敬意を表し「オレー!(¡OLE!)」もしくは他のハレオ(掛声)を使って呼びかけや励まし合うことがよくある。「観客席からも、舞台のパフォーマーに感動した瞬間に「オレー!」と掛け声をかけてもらえるとうれしい」と金子さんは話す。フラメンコは、オペラなどの静かに鑑賞するアートとは一味違う楽しみ方ができそうだ。(ただし、静かな歌、静かな踊りの最中はさすがに控えよう)

 

Vancouver International Flamenco Festival

フェスティバル開催中は、フラメンコショーの他、フラメンコが体験できるワークショップやフラメンコ講義(Understanding Flamenco 9月18日)も開催される。ワークショップは、子ども向けの無料ワークショップ(Picnic Pavilion - Flamenco For Children 9月22日)、シニア・大人用の無料体験レッスン(9月19日)、本場スペインのダンサー、マニュエル・リニャンの有料ワークショップ(9月15日)等、多くが開催される。秋を迎えたバンクーバー。新たな趣味を見つけに、ぜひ足を運んでみてほしい。

詳細はこちら http://www.vancouverflamencofestival.org/schedule-at-a-glance/

※各日、時間・場所が異なるので注意

(取材 わしのえりか)

 

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