2019年7月4日 第27号
6月27日の夜、バンクーバーのバニエイ公園のステージから笑顔と情熱があふれ出した。披露されたのはさまざまな文化を背景とする地元14グループによる音楽とダンスのパフォーマンス。主催はバンクーバービエンナーレ(Vancouver Biennale)だ。
パッションが弾けたペルシャフラメンコのFarnaz Ohadi Ensemble
14グループが魅力的なパフォーマンスを披露
ビエンナーレは、地元アーティストの才能を生かし、コミュニティーを盛り上げることを目指し、公共スペースでの芸術活動を推進する非営利団体。主な活動は、芸術イベントの企画と街の中への彫像作品の設置である。
当日はバニエイ公園に簡易ステージが3カ所設けられ、フラメンコ、中国舞踊などのダンス、リズム・アンド・ブルース、バルカン地方の音楽などが披露された中、日系コミュニティーからもフラダンスグループのワイレレワイワイ、そして和太鼓演奏のノリ・アカギさんが登場した。
キツラノでのステージに向けてエナジー高まるワイレレワイワイ
この日、ワイレレワイワイからは約20人のメンバーが出演し、曇り空の肌寒さにもかかわらず、満面の笑顔でハワイの風を運んでくれた。日頃精力的に公演活動を行う同グループでは7月26日にキツラノショーボートで恒例のパフォーマンスを予定している。「ハワイアンナイト」と題した今年のステージは、前半にギター奏者ユウジロウ・ナカジマさんと歌手のリサ・高橋さんによるハワイアンソングズ、日系のウクレレユニットのバナナブレッド、そしてさくらシンガーズの演奏があり、後半にワイレレワイワイが登場するそうだ。
ノースバンクーバー在住のベテラン和太鼓奏者
情熱的な太鼓演奏でイベントに活気をもたらしたのがノリ・アカギさん。ノリさんのバンクーバーでの活動は2018年5月に開始したばかりだが、和太鼓演奏歴は19年と長い。10代からドラム奏者としてバンド活動を始め、アフリカの太鼓ジャンベやスペインの太鼓カホンなども取り入れ、演奏の幅を広げてきた。2000年には新感覚のアジア音楽ユニット「天河」に和太鼓奏者として加わり、日本全国でコンサートを実施。その後、さまざまなプロジェクトに関わり、アメリカやインドで公演を経験した。2012年カナダに移住し、和太鼓グループとして活動。バンクーバーでは尺八奏者のアルスビン龍禅ラモスさんと和楽器デュオ「Bushido(節童)」、和楽器グループ「Dahaza (打波座)」を結成。その傍ら、ソロでの太鼓演奏も続けている。
「和太鼓の魅力の一つは、材質、構造、サイズや形状の違いで様々な音色を奏でられること」と語るノリさんは、この日、4種類の太鼓を駆使して、聴く楽しさ、観る楽しさを盛り上げた。また和太鼓だけでなく、沖縄三味線・三線も日々腕を磨き、今年春より一般公開している。2019年1月と4月には、書道家・紀洲さんとコラボしてのパフォーマンスを経験。「人生は短いので、やりたいことをどんどんやっていきたい」とさらなる挑戦意欲を見せている。
(取材 平野香利)
バルカン地方の民族音楽を披露したZlatna Mountain
「アロハの心」が全身からあふれているワイレレワイワイのパフォーマンス
和太鼓の演奏後、三線の弾き語りも披露したNori Akagiさん