2019年6月6日 第23号
4月中旬から2週間、ギリシャを旅する機会に恵まれた。訪れたのはエーゲ海に数ある島々のうち、サントリーニ、クレタ、そしてロードスの3島。
サントリーニ島教会
サントリーニ島と言えば、青い屋根に白い壁の教会の写真で有名なところ。写真を撮るのが大好きな私は、いつか行きたいと思っていたところなので、長年の夢が叶い、心弾む旅の始まりとなった。広さ73㎢の小さい三日月形のこの島、かつて大爆発を起こした火山が形成したカルデラ地形の一部で、その外輪山にあたる。島の西側はカルデラ湾を望む断崖絶壁になっていて、その上に白壁の家が密集している。
島の中心の町ティラには、たくさんのホテル、レストラン、土産物の店が並び、カルデラ湾にはクルーズ船が入って来る。湾に面したオールドポートとティラの街は、ジグザグの坂とロープウェーで結ばれていて、ロバのタクシーを利用することも可能だ。なんとものんびりしている。
また、この島にはワイナリーがいくつかある。ギリシャ本土やエーゲ海の島々はぶどうの栽培に適した気候と土壌があり、安くて美味しいワインがたくさんある。カナダにはあまり入って来ないのが残念だ。
この島第二の町、イアは、青い屋根の教会や絶好の夕日スポットがあるところだ。どこを切り取っても絵になる風景があちこちにある。そして、夕日が海に沈むまで待つこと1時間半。しかし、その甲斐は十分にある景色だった。
翌日、高速フェリーに乗って、次の目的地であるクレタ島に向かう。ギリシャに属する地中海の島々の中で、最大の広さをもつ。その歴史も深く、ヨーロッパ最初の文明の一つ、ミノア文明が紀元前三千年から栄えたのを始め、ローマ帝国、ビザンツ帝国、ベネチア共和国の統治を経て、17世紀にイスラムのオスマン帝国領となった。ギリシャ領となったのは、100年ほど前に過ぎない。現在でもさまざまな文化の名残りが感じられ、大変興味深い。
イラクリオンは、この島第一の町である。しかし、中心部の旧市街はそれほど広くなく、考古学博物館、大聖堂、噴水やカフェのある広場などをゆっくり歩いて回れる。旧市街からほど近い港には、ベネチア統治時代の要塞があり、ランドマークになっている。また、近郊にあるミノア期の遺跡であるクノッソス宮殿は必見。
クレタ島はバスでの移動が便利で、主だったところにバスで行くことができ、料金も格安。イラクリオンから第二の町ハニアへも、快適なバスで2時間ほどである。ハニアは、ベネチア統治時代の面影が色濃く残る町で、大変美しい。こちらも旧市街はゆっくり歩いて回れる広さなので、地図など持たずに細い道に入って行くのも楽しい。見どころは港の近くに集まっていて、レストランやカフェもたくさんあるので、歩き疲れたら景色のいいところで一休みできるのも嬉しい。夜になると港の灯台や街頭に灯が入り、まるでベネチアにいるような気分になる。
クレタ島は、中央部に山地が横たわっている。4月でも雪をかぶった2,500m級の山もあれば、荒々しい渓谷地帯もあり、変化に富んだ自然を楽しむことができる。主だった町は島の北側に位置しているが、カーブの多い渓谷地帯の道路を通り抜けて南側に行くと、きれいなビーチが点在するリゾート地帯になっている。私たちはプラキアスという町の近くに1週間滞在した。ちょうどイースターの週末だったせいか、ドイツやイタリアなどから家族連れで休暇を楽しむ人たちが集まっていた。
温暖な気候に恵まれたこの地域では、オリーブ、ぶどう、レモンやオレンジ、枇杷の木があちこちに見られた。また、丘陵地帯では羊や山羊が放牧され、群れが移動中に道路をふさぐ光景にも出会った。羊や山羊たちものんびりと幸せそうだ。
(投稿 西島美智子)
サントリーニ島夕日の街風景
クレタ島イラクリオンの要塞
クレタ島ハニア