2019年4月11日 第15号

長かった冬が終わりを告げると、バンクーバーでは桜が一斉に開花を始め、今年もチェリーブロッサム・フェスティバル(VCBF)が開幕した。

ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市ダウンタウンのバラード駅コンコースで4月4日、恒例となったフェスティバルのキックオフイベント、バンクーバー・チェリージャム・ダウンタウン・コンサートが開催された。

この日のバンクーバーは大変暖かく、晴天にも恵まれ、行き交う人々も足を止めて満開となった桜の花やライブミュージックを楽しんだ。

 

スカイトレイン・バラード駅周辺に咲きほこる桜の品種は『アケボノ』

 

文化を超えた友情を

 初めに司会のキース・ブラックモア氏がフェスティバルの開幕を告げ、VCBF創始者、リンダ・プール氏とバンクーバー・パークボードの理事、デイブ・デマーズ氏を紹介した。

 14年前にプール氏がバンクーバー市に企画を持ちかけて以来、VCBFは、毎年この時期に開催されてきた。氏の名言ともいえる「桜の下に他人はいない(There are no strangers under the cherry trees)」からも、フェスティバルには文化を超えた友情を育もうとの願いが込められている。

 二組の日系グループの演奏前には、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事の挨拶があり、バンクーバーで様々な文化、とりわけ日本文化が広められたことに、そして、この素晴らしきフェスティバルを築きあげたプール氏に感謝の意を述べた。在バンクーバー日本国総領事館は、過去何年間にもわたりVCBFのスポンサーを務め、今年のチェリージャム・ダウンタウンでは、『語り太鼓』と『ノリノリ&カゲ』のスポンサーとなった。

 

多文化なコンサート

 多文化なバンクーバーにふさわしく、この日のライブミュージックは多様なジャンルの音楽で構成された。軽快なアフリカンリズムに乗った『Zimbamoto』がスタートを切った。そしてバンクーバーの日系グループ『語り太鼓』と『ノリノリ&カゲ』の迫力ある演奏へと続いた。力強い和太鼓のリズムと三味線の音色は、大きく会場に響き渡り、観客と行き交う人々を魅了した。

 イベントの最後を飾ったバンドは、南米コロンビアのクンビア音楽をルーツとする『MNGWA』。サルサやレゲエ、ヒップホップ、サイケデリック・ロックなど多様なジャンルが融合された音楽に、4カ国語の歌詞が織り交ぜられたユニークな曲を披露した。

 

バンクーバーの桜を楽しむ

 現在、バンクーバー近郊に植えられている桜の樹、約4万3千本は日本から寄贈されたもので、桜の植樹は続いている。開花の時期は品種によって違い、3月下旬から5月中旬までの長期にわたってバンクーバーならではの開花が楽しめる。(http://maps.vcbf.ca/map/

 VCBFでは、4月13日、14日にバンデューセン植物園で行われる「Sakura Days Japan Fair」をはじめ、多くのイベントが企画されているので注目したい。(https://www.vcbf.ca/community-events

(取材 中村みゆき) 

 

バラード駅コンコースに設けられたステージ。 行き交う人々も足を止め、音楽を楽しんだ

 

VCBF創始者のリンダ・プール氏。桜のパワーをバンクーバーから発信

 

挨拶のことばを述べる羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事

 

桜のピンク色をコーディネートに取り入れ、「今日はソックスもピンク色です」と話すキース・ブラックモア氏

 

フェスティバルの開幕を祝うバンクーバー・パークボードのデイブ・デマーズ理事

 

威勢の良い語り太鼓の演奏はひときわ注目を浴びた

 

『ノリノリ&カゲ』のアイリーン・カゲさん。三味線の音色との絶妙なコラボで和太鼓演奏を披露

 

『ノリノリ&カゲ』のノリコ・コバヤシさん。演奏の途中で三味線の弦が切れてしまうほどのパワーを放った

 

多文化のバンクーバーにふさわしいラテン・フュージョンミュージックを演奏した『MNGWA』

 

『Zimbamoto』でボーカルとマリンバを担当するクライ・ムバイワさん。アフリカ、ジンバブエのクラシックとモダンが融合されたリズミカルなアフリカンミュージックを演奏

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。