2019年3月7日 第10号

2月23日、BC州リッチモンド市スティーブストン室内テニスコートで、第46回スティーブストン招待空手道選手権大会が開催された。カナダをはじめ、日本、アメリカ(カリフォルニア州、イリノイ州、オレゴン州、ワシントン州)から440名を超える選手が参加した国際大会。2020年の東京オリンピック空手競技の国際水準に合わせたルールにもとづいて試合が行われた。

他の空手流派の有段者なども、審判として駆けつけ、厳しいジャッジをくだしていた。また、60名を超えるボランティアが会場整備や大会運営の随所で力を発揮していたのが印象的だった。

 

フレンドシップ大会出場者、日本チームとカナダ・アメリカチーム

 

ようこそ、リッチモンドへ、そして絆を深めよう

 スポーツは、心・技・体が伴ったとき、最大の力が発揮されるという。なかでも古武道の空手道「剛柔流」は、技術面以上に精神面の向上を重要とする流派で、ここカナダにもすっかり定着し、日々修行をしている。カナダは、モザイク文化国家といわれるが、まさしく、このスティーブストン招待空手道選手権大会も同じ。さまざまな文化背景を持つ人々がモザイクのように集い、日頃の練習の成果を競い、絆を深めていた。それは、技だけではない、『人を思いやる心を尊ぶ』精神が広く共感されてのことだ、と推察される。

 来賓の挨拶で、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事は「空手の技術向上を通じ、コミュニケーションを深め、多くの人々と強い絆の友情を築いてきたスティーブストン招待空手選手権大会。この大会を46回という長きにわたり継続され、日本文化の真の理解を広めることに貢献してこられたことに敬意を表します」と述べた。

 また、リッチモンド市選出の国会議員のジョン・ヤップ氏、そして、リッチモンド市市長のマルコム・プロディ氏は、ともに「試合を楽しみ、リッチモンド市の観光や食事、ショッピングもお楽しみください」と、歓迎の言葉を述べていた。そして、羽鳥総領事は『総領事杯』をエリカ・チョウさんに、ジョン議員は『MLA杯』をステファニー・ヒリアーさんに、マルコム市長は『市長杯』を打揚寿英さんにそれぞれ授与した。また、『和歌山市長杯』は、荒川雅俊さんが獲得した。

 

国際センスを身につけるために

 日本からは、千葉県勝浦市にある国際武道大学空手部監督の荒川尊祐さんが主宰する「白水修養館」道場の練習生男女13名、関係者4名総勢17名が参加した。練習生は、7歳から20歳の構成。このなかからフレンドシップ大会の日本チーム5名が選抜され、カナダ・アメリカチームと対戦した。手に汗を握る大接戦の末、日本チームが優勝した。

 空手道が、ますます国際化していくなかで、幼少期からの国際大会への参加は、貴重な経験として蓄積されていくだろう。なお、来年は、国際武道大学の学生の参加を予定し、一年ごとに白水修養館の練習生と交互の参加を予定をしている。

 

スティーブストン招待空手道選手権大会にはさまざまな分野のプロが、ボランティアとして支援している

 今大会で特に目立ったのは、6面のリングそれぞれに備えられていた60インチの大画面のモニターだ。これは登録選手のクラス、勝敗などに合わせ、スムースに指定のリングに移動ができる情報を表示するシステム。当大会のサポーターのコンピューターのプロが独自開発したプログラムだ。440名を超える選手が、準備体操や、休息、食事などを取りながら、スムースな移動ができるため、リングの空きもなく効率的な運用ができていた。

 選手の保護者や、ボランティアでサポートする人々のなかには、子どもの扱いに慣れた保育士や、先生、あるいは、警察関係者、弁護士、医者などさまざまなプロフェッショナルがおり、参加選手を影に日向に支援してくれているのが特徴だ。

 試合当日はもちろん、それ以前から会場設営や、案内、運用、食事の準備、清掃などに60名を超えるボランティアが活動していた。このボランティアのなかには、出場者の保護者や関係者ではない一般の人も多数参加していたのが、空手への関心の広がりを物語っているようだ。

(取材 笹川守)

 

出番を待つ空手キッズたち

 

形の部で銀メダルの荒川雅俊さん

 

形の部で金メダルの打揚寿英さん

 

「痛くない!こわくない!みんながんばる!」

 

「僕も負けないぞ!」

 

フレンドシップ大会優勝の日本チーム

 

日本から参加した16名

 

MLA杯を授与されるステファニー・ヒリアーさん(左)、ジョン・ヤップ国会議員(右)

 

総領事杯を授与されるエリカ・チョウさん(左)、羽鳥在バンクーバー日本国総領事(右)

 

スピーチ中のマルコム・ブロディ・リッチモンド市長

 

来賓(左から)リステル(ホスピタリティグループ副社長兼CFO)上遠野和彦さん夫妻、ペイジ・ロバートソンさん、ジョン・ヤップ国会議員、打揚猛会長、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事、マルコム・ブロディ・リッチモンド市長、ジム小島さん、荒川尊祐さん

 

各リングに設置された60インチ画面のモニター

 

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。