2019年2月21日 第8号

太平洋地域の安全保障分野で長年携わり貢献し、平成30年度外務大臣表彰を受賞したブライアン・ジョブ氏の表彰式が2月13日、在バンクーバー日本国総領事公邸で行われた。家族、同僚、友人ら約20名が見守る中、羽鳥隆総領事からジョブ氏へ表彰状及び副賞が手渡された。

 

羽鳥隆総領事(右)より表彰状を手渡されたブライアン・ジョブ教授(左)

 

BC州から個人受賞

 外務大臣表彰は、多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍し、我が国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をしている中で、特に顕著な功績のあった個人および団体についてその功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的としている。

 外務省の発表によると、平成30年度は205名の個人と49団体(うち国内在住受賞者は34名の個人、6団体。海外在住受賞者は171名の個人、43団体)が外務大臣表彰を受賞。

 ブリティッシュ・コロンビア州ではジョブ氏のほかに、日加ヘルスケア協会が、カナダにおける邦人援護活動への貢献により受賞した。

 

日加平和・安全保障 シンポジウム

 ジョブ氏はアジア太平洋地域の安全保障分野の専門家として長年研究活動に携わりつつ、安全保障分野における日加協力を促進するため両国の政府関係者・有識者が一堂に会する「日加平和・安全保障シンポジウム」の設立(1998年)に中心的な役割を果たした。以来20年間にわたり、開催された同シンポジウムにおいてカナダ側共同議長等を務め、日本側とカナダ側の橋渡しとなりつつ、安全保障分野における日加協力につき研究者の立場から大きく貢献した。

 ジョブ氏の経歴を紹介した羽鳥隆総領事は、日加間では自衛隊とカナダ軍隊が物資や役務を融通しあえるようACSA協定に署名がなされ、安全保障面で連帯が深まっていると述べ「ジョブ氏は日加関係において主要な役割りを務め、多くの論文とともに日加関係の重要さを発表されました。20年にわたる貢献に関して、日本政府を代表して心より感謝申し上げます」と河野外務大臣からの表彰状を手渡した。

 

日加安全保障に関する 協議書を共同執筆

 受賞にあたりジョブ氏は「日加平和・安全保障協力シンポジウムの共同議長を務めさせていただいたことは大変名誉なことでありました。また、西原正氏(防衛大学名誉教授、平和安全保障研究所理事長)と日加安全保障に関する協議書を共同執筆し完成させたことは光栄でした。羽鳥総領事と外務省に感謝します」と述べた。オタワと東京で交互に開催されたシンポジウムでは、毎回両国政府より激励と配慮を受けたこと、オタワではマイナス27度のときもあったなど、当時のエピソードを語った。

 UBCの同僚であるポール・エバンス氏(UBCアジア研究所教授)は「ジョブ教授はおだやかで忍耐強く、長いプロジェクトを遂行できる長距離選手でもあります」とその人柄を述べ、西原正氏と共同で日加安全保障分野でリーダーシップを取り、次の世代へ橋渡しをしたことを称えて乾杯の音頭を取った。

 レセプションではおいしい和食が振舞われ、和やかな歓談が続いた。

 

ブライアン・ジョブ教授 (Brian L.Job, PhD)
1989年よりブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)教授(政治学科)、アジア太平洋保障協力会議(CSCAP)委員、アジア太平洋財団上級研究員、青山学院大学客員教授。16回開催された日加平和・安全保障シンポジウム(1998年設立)においてカナダ側共同議長を務めた

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

出席者のみなさんと(中央がブライアン・ジョブ教授夫妻、前列左端が羽鳥ユジュ・羽鳥隆総領事夫妻)

 

乾杯の音頭を取ったポール・エバンス氏(UBCアジア研究所教授)

 

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