2019年2月7日 第6号

バンクーバーで30年近く英語学校を経営し、現在では英語の指導にとどまらず、グローバル・シティズンの育成などにも力を入れているサミー高橋さん。International Houseバンクーバー校の教育顧問や日本カナダ商工会議所会長代理も務めるなど、広く活躍中の高橋さんが、長年にわたる英語教授の経験から、日本人が英語を習得する極意をまとめた「英語はスポーツだ!」を1月初旬に出版した。

 

サミー高橋さん(写真提供 サミー高橋さん)

 

この本を書くきっかけとは?

 「長年、英語を教えてきた中で、英語を身につけたいとカナダに来る日本の学生さんをたくさん見てきたんですが、何か違うなとずっと感じてたんですね。英語は国際語で絶対必要だとずっと言われてるじゃないですか。その割には皆さん英語があまり上手とはいえない…。そのあたりについてずっと考えてきたことを、この本に集大成したということです。英語を教えていく中で私が気がついた、『どのようにして日本人が英語を習得するべきか』をまとめてみたんです」

 

タイトルがキャッチーですね。

 「英語習得法の本はたくさんありますが、英語は勉強ではなく、スポーツだと捉えて体で身につけるもの、ということを強調したいと思いました。私の持論ですけど、日本人は英語を『勉強』しようとするんですね。日本人は英語学校に行っても遅刻もせず真面目に出席する。それに比べて南米の学生はしょっちゅう遅刻してくる。文法は日本の学生の方が知っているかもしれないけど、南米の学生の方がたくさん話せるようになったりする。野球に例えてみると、日本人はボールが投げられてきたら、どうやってバットに当てるかを考えてばかりいるからなんですね。とりあえずボールが来たらバットを振ってみるということをしないと。そういうことを言いたかったんです」

 

アイコンタクトと大きな声が英語上達のコツとのことですが。

 「私は自分のワークショップで、こんなことをするんです。ボールを投げて、それを受け取った人は自己紹介して次の人に渡す。ここで何が大事かというと、話している相手をしっかり見ること。そうじゃないとボールを受け取れないですね。日本人はなかなか視線を合わせない人が多いですが、基本は相手を見ること、アイコンタクトが大切だと。そして、英語はお腹から声を出して大きな声で話すことも大切です。学校の春休みや夏休みにこちらで短期留学をして日本に帰ると、『声が大きくなった』、『堂々としている』とか言われることが結構あるようですね。これは第一歩ですね。スポーツをやるときは恥ずかしがっていたり、控えめでいたりするわけにはいかないですから、スポーツ感覚、頭で考えるより行動ですよね。それを勧めたいですね」

 

カナダに来たけど英語がうまくならなかったという人も多いようです。

 「もったいないですよね、残念です。日本の文化として『空気を読む』から、クラスに他にも日本人がいると、周りの様子をうかがってばかりになりがちです。ですが、クラスに日本人がいても全部英語で通す。ひとりごとも、ラインでも、なんでも英語にするようにするのもポイントです。ある意味、人工的につくらないといけないですね。英語を身につけたいとやる気のある人には、『今日はほんとに英語を話したくない』と思うほど英語漬けになれと言ったりしてます。そして本にも書いていますけど『例外的日本人』になれと提唱したい。人生楽しくなりますよ。人と違うことをやりたいと思っても、恥ずかしい…と思って躊躇している人は多いですが、ここでなら意外とできちゃったりしてね。例外的な日本人になることが英語習得への第一歩であり、全てでもあると思います」

 「英語はスポーツだ!」には、これまでの英語学習法の概念をガラッと変えるような考え方が書かれている。リスニング力アップの方法や発音攻略法など、実践的なアドバイスの他、よく使う英語表現や身の回りのことを英語で表現するためのサンプル文なども掲載しており、実用的な内容となっている。

 Amazonで世界のどこからでも購入できるので、カナダ以外に住む人にも手に入れやすい。Amazon.ca やAmazon.comで購入の場合は、「Sammy Takahashi」 もしくは「Learn to Speak English as if You Were Playing Sports」で、Amazon.co.jpでは「英語はスポーツだ!」で検索可能。

(取材 大島多紀子)

 

 

「英語はスポーツだ!」持ち運びもしやすいサイズもうれしい

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。