2018年5月24日 第21号
5月12 日、バンクーバー生け花協会(VIA)主催『春の生け花展』がブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市のアラン・エモット・センターで開かれた(メディアスポンサー:バンクーバー新報)。今年は俳句と詩からインスピレーションを得た作品を中心に、過去最高数にあたる55 点が池坊、華道すみ、山月流、草月流より展示された。岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が夫君の知明氏とともにワークショップに参加して花を生けるなど、たくさんの人が生け花の魅力に触れた1日となった。
VIA 会長のジョーン・フェアーズさん(左)とバンクーバー俳句グループ代表のアンジェラ・ナカラトさん。フェアーズさんは松尾芭蕉の俳句をモチーフに竹を使った
生け花と俳句 VIA は設立53 年。今年は趣向を変えて、俳句や詩、川柳などからインスピレーションを得た作品を中心に展示された。 開会式にはバンクーバー俳句グループ代表のアンジェラ・ナカラトさんが出席。「生け花も俳句も日本の芸術を象徴するものであり、静けさの中に深い意味を持つ点、微妙な表現、リズムや四季、人を感動させる力など類似点がたくさんあります」とスピーチし、VIA 創始者たちとリボンカットに参加した。俳句、詩、川柳をモチーフに VIA 会員にはあらかじめ、春や自然をテーマにした俳句の英語訳が配布された。また会員の中には自ら俳句を書いて花を生けた人もいた。 ジョーン・フェアーズさんは松尾芭蕉の『蔦植て竹四五本のあらし哉(つたうえて たけしごほんの あらしかな)』をモチーフに竹を使った作品を、キンバリー・クックさんは正岡子規の『夕風や白薔薇の花皆動く』をモチーフに白いバラを、また習い始めて5年めというジュリア・チャンさんは、ねじめ正一の川柳をモチーフにナルコユリを使って生けた。 好評だったワークショップ 午後はデモンストレーションのあと、3回に分けて行ったワークショップが好評だった。 生け花は初めてという岡井朝子総領事は、夫君の知明氏とともにピンクのツツジと白いコデマリを生けた。「草月流教科書の最初に出てくる盛り花スタイルをお教えしました。総領事は自然な手つきで、ご夫妻で楽しそうに生けられました」と草月流師範のホリス・ホーさん。 今年はカメラや携帯で花を撮影する人の姿が多く見られた。
(取材 ルイーズ阿久沢)
開会式でリボンカットをしたみなさん。(左から)VIA 会長のジョーン・フェアーズさん、VIA 創始者のボイコット清子さん、バンクーバー俳句グループ代表のアンジェラ・ナカラトさん、角澪潮さん、ロレーン・ウエストさん
ワークショップに参加してツツジとコデマリを生けた岡井朝子総領事(右)と夫君の知明氏(左)(写真提供:Cecily Chang さん)
カメラや携帯で花を撮影する人の姿が多く見られた
ジュリア・チャンさんは、ねじめ正一さんの川柳を読み、つぼみには根から得た生命力があることを考えながらナルコユリを生けた
岡井朝子総領事が生けた作品。草月流師範のホリス・ホーさん指導による盛り花スタイル(写真提供:Cecily Chang さん)
庭に咲いたシャクナゲやアヤメをモチーフに
キンバリー・クックさんは正岡子規の『夕風や白薔薇の花皆動く』をモチーフに