2018年3月29日 第13号
3月24日、ブリティッシュ・コロンビア州ノースバンクーバーのブロックトンスクールにて、日本文化を紹介するイベント、ジャパンフェアが開催された。
このジャパンフェアは日本から来た、神奈川県横浜市にある横浜隼人高等学校の国際語科の生徒たちが主催した。生徒たちは何カ月も前から準備し、春休みを利用してカナダへ来た。日本文化を紹介すると同時に、国際交流を目的としたこのイベント。ブロックトンスクールでは毎年恒例となりつつあり、当日は雪の混じった雨という芳しくない天候にも関わらず、現地の若者から子供連れの大人、年配の人まで幅広い年齢層の人々が来場し、イベントは大盛況に終わった。
祭囃子に合わせて盆踊りを踊る生徒たち
横浜隼人高校を運営する大谷学園は鎌倉時代に親鸞が広めた浄土真宗大谷派をくむ学園で、100年以上の歴史がある。明治に設立した伝統ある学園が運営する高校の一つである横浜隼人高等学校は、その明治の精神ともいえる国際交流を積極的に行う学校で、昭和63年に英語中心のカリキュラムとなる国際語科が開設され、平成4年からアメリカ、カナダなどで研修や留学を行っている。国際語科の生徒たちは今回のイベントでも、司会や日本文化の説明などを全て自分たちで英語で行っていた。
今回のイベントの目玉は大きく分けてふたつあった。ひとつは校舎内で行われた、折り紙や書道、茶道などの日本文化を体験できるスペース。折り紙コーナーでは生徒たちが来場者に折り紙を教え、書道コーナーでは来場者の名前に漢字をあてたり、その人が好きな言葉を書にしてプレゼントしたりしていた。茶道体験教室では、生徒たちの点てた日本の濃い、深みのあるお茶をふるまった。校舎の一角では横浜隼人高校の生徒たちが日本の風景や文化、学校生活や部活の様子の動画をスクリーンで上映し、“日本”を伝えているコーナーもあり、そこから順にさまざまな体験コーナーを回って行ける形となっていた。
ジャパンフェアのもうひとつの目玉は、体育館で行われたさまざまなパフォーマンスイベント。日本の代表的な踊りともいえる盆踊りを、生徒たちが浴衣を着て披露した。横浜隼人高校には和太鼓部があり、盆踊りの祭囃子(まつりばやし)を生徒が笛と太鼓で演奏し、それに合わせて浴衣姿の生徒たちが輪になって踊った。笛と太鼓と盆踊りの曲は日本人にとっては馴染みがあり、どこか懐かしさを感じるが、初めて聴くカナダ人の耳にはとても新鮮だったであろう。まずは生徒たちだけで踊り、2回目は観客も参加し、生徒たちの指導のもと、大きな輪となって踊った。盆踊りを見ること自体が初めての人も多く、一生懸命振り付けを真似しながら楽しんでいた。
その後、武術のデモンストレーションが行なわれた。日本の武術をはじめ、“マーシャルアーツ”は海外でもとても人気が高く、このデモンストレーションは大きな盛り上がりを見せた。基本の型が披露された後、実際に防具を付けての打ち方が紹介され、竹刀が直接防具に当たった時の音はとても迫力があり、観客を喜ばせた。次は合気道を使っての護身術講座が行われ、女性がもし男性に襲われた場合の対処法が披露された。最小限の力で相手を豪快に投げ飛ばす姿に会場は湧きあがった。
パフォーマンスイベントは生徒たちの合唱で締めくくられた。日本を紹介する趣旨に沿って、日本を象徴する花である桜を題材にした2曲が歌われた。伝統的な琴の楽曲「さくら さくら」と現代を代表するアーティストのひとりである森山直太朗の「さくら」の合唱でパフォーマンスは終わった。
日本は今では外国人観光客にとても人気がある国のひとつで、浅草などに行けば外国人観光客を年中見かけることができる。だがやはり北米から見れば、地球の反対側に位置する国であり、日本文化を知らない外国人はまだまだたくさんいる。日本は歴史も長く、食も文化も素晴らしい国である。その魅力をひとりでも多くの外国人に知ってもらい、日本に行ってみたいと思わせるこのようなイベントが高校生たちによって開催されるのは、とても喜ばしいことである。
(取材 榊原理人)
剣道の基本の型のデモンストレーション
書道体験教室で来場者たちへの書のプレゼントを書く生徒たち