2017年12月14日 第50号
12月23日に84歳を迎えられる天皇陛下。その誕生日に先立ち、在バンクーバー日本国総領事主催による恒例の天皇誕生日祝賀レセプションが12月8日、バンクーバー市のウェスティン・ベイショア・ホテルで行われた。ハルシット・シン・サージャン・カナダ国防大臣、ブルース・ラルストン・ブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)雇用・貿易・技術大臣を主賓とするBC州議会及び政府関係者、日加ビジネス・教育・文化関係者、日系団体関係者らが招かれ約450名が参加した。今年も会場にはバンクーバーで人気のレストラン、日本茶、日本酒、日本米などの食品業界や旅行業界などの企業あわせて16社がブースを構え、出席者に日本の素晴らしさを効果的にアピールしていた。
在バンクーバ日本国総領事主催によるレセプションに出席した各界の来賓の方々。岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(写真右から7番目)、ハルシット・シン・サージャン・カナダ国防大臣(同8番目)、ブルース・ラルストンBC州雇用・貿易・技術大臣(同9番目)(写真撮影 斉藤 光一)
岡井朝子在バンクーバー日本国総領事による開会の挨拶の冒頭で、天皇陛下が再来年の2019年4月30日に退位され、皇太子さまが翌5月1日に即位される日程が正式に決まったことを発表した。天皇陛下のますますのご健勝を願うとともに、2017年を振り返り、以下の内容のスピーチを行った。
数々の節目の年にあたる今年は日本人が始めてカナダに移住してから140年、強制収容から75年、日加修好90周年、カナダ建国150周年。そして日本は来年、明治維新から150年目でもある。BC州においては新政権を担うことになった新民主党(NDP)のジョン・ホーガン党首と今後も日本とBC州がさらなる結束を図ることで一致していることをうれしく思う。
日本国内においては10月に行われた衆議院議員総選挙での安倍晋三首相率いる自民党の勝利は、2012年から実施されている「アベノミクス」政策が国民に支持されている結果だといえる。そのアベノミクス効果で名目GDPが過去最高を更新、失業率の低下などに顕著に現れている。
日本は急速に進行する少子高齢化と、それに伴う人口減少への対応が急務となっている。そこで日本政府は「モノのインターネット(IoT)」「ビッグデータ(BD)」「人工知能(AI)」といったイノベーションを推進して問題を解決していく方針である。
2020東京オリンピックに向けて、日本政府は訪日観光客数を2020年までに4千万人に増やす計画を発表しているが、それも目標達成可能な数字になってきている。2012年には800万人だった訪日観光客が2016年には2400万人まで増加。カナダからの訪日観光客に焦点を当てれば、2016年は2015年に比べて18パーセントもの増加を記録している。
日本とBC州の関係に目を移せば、日本はBC州の貿易相手先第三位である。そして2017年は新たなパートナーシップも生まれた。その一例は、大塚製薬株式会社がプラントベース食品の北米高成長企業であるデイヤ社を買収。サービス業においても、無印良品とユニクロが待望のメトロバンクーバー上陸を果たした。天然ガス輸出に関しては、ジョン・ホーガンBC州首相が液化天然ガス(LNG)事業を引き続き推し進めていくとの意向を示している。ここにみるように日加間には大きなビジネスチャンスが、まだまだ存在する。
最後に2018年も日本とカナダの関係はさらに成長し、発展し繁栄していくものと確信している、と挨拶を締めくくった。
次にブルース・ラルストンBC州雇用・貿易・技術大臣がBC州政府を代表して挨拶を行った。ジョン・ホーガンBC州首相に代わり天皇陛下への祝辞を述べた。そして陛下の長年にわたる魚のご研究の成果や温かい人柄にも触れた。日本はBC州の第3位の貿易相手国であり、日本にとってもBC州は良き投資先である。さらに無印良品がバンクーバーに新店舗を開店したことにも触れ、BC州と日本の絆は強くなる一方であることを強調した。
最後にハルシット・シン・サージャン・カナダ国防大臣が壇上に上がり、日加間についてのスピーチを行った。
カナダと日本は、共通の価値観と友好関係に基づき、政治、経済、文化など幅広い分野にわたり強い絆で結ばれている。警察官として勤務していた際の同僚に素晴らしい日系人がいたことや、日本の武術を習った自身の経験を踏まえ、日系カナダ人のカナダにおける功績を称えた。
日本のテクノロジー分野・鉄道・ロボット・アニメなどにおける世界的なリーダーシップを称えるとともに、日系人の強制収容の事実や第一次・第二次世界大戦で戦った日系人兵士たちの活躍を改めて認識した。
また先月バンクーバーで開催された「国連平和維持活動に関する国防大臣会合」に先駆けて行われた2国間会談で、両国が防衛、災害活動等において確固たる協力体制を一層強めることを確認した。さらに、カナダは引き続き国際社会での平和維持活動に力を注ぎ、日本がそのための重要なパートナーであり続けることをうれしく思う、と締めくくりハルシット・シン・サージャン・カナダ国防大臣は乾杯の音頭をとった。
宴が始まると「JINYA」のラーメンブースに長蛇の列ができ、店員の威勢のよい声が会場に響いていた。ラーメンと共に長い列が絶えなかったのが「炙Miku」。提供される日本食は、どれも素晴らしいと来場者は顔をほころばせた。おいしい料理と飲み物に舌鼓を打ち、参加者同士の会話も弾み、レセプションは日本の素晴らしさを発信する場としてだけでなく、参加者同士の新たな交流の場としても機能し、有意義な宴となったようだ。
(取材 福安恵子)
乾杯の音頭をとるハルシット・シン・サージャン・カナダ国防大臣と岡井朝子在バンクーバー日本国総領事(写真撮影 斉藤 光一)
多くの来客者で賑わう会場で談笑する岡井朝子在バンクーバー日本国総領事と夫君の岡井知明氏(写真撮影 斉藤 光一)
ブルース・ラルストンBC州雇用・貿易・技術大臣のスピーチ(写真撮影 斉藤 光一)
日本食ブース
Aoyama Harp of Canadaによるハープの演奏(写真撮影 斉藤 光一)
BC州日本酒協会のブース
山本実さんの尺八、成谷百合子さん、小茂田和子さんによる琴(写真撮影 斉藤 光一)
日本・カナダ両国の国家を斉唱するNAVコーラス(写真撮影 斉藤 光一)