2017年12月7日 第49号

日本の伝統的な文化を次世代へ伝えるのと同時に、カナダの人たちに紹介する活動を行っている晩香坡櫻會(以下、櫻會)が、11月24日、バンクーバー市内のエリック・ハンバー・セカンダリースクールで寿司についての講義と実習を行った。同校で日本語を学ぶ生徒たちが、寿司についての講義を聞き、実際に巻きずしを作る体験を通して、楽しみながら日本の食文化の一端に触れていた。

 

湘南神輿の説明をする清野健二さん

 

楽しく日本の食文化に触れる

 この日参加したのは、日本語の授業を取っている生徒62人。日本語学習1年目から3年目まで3回に分けて講義実習が行われた。最初に、櫻會代表である清野健二さんが櫻會の活動のメインである湘南神輿の特徴や担ぎ方などについて紹介した。続いて、北の家マーケティングGuuの副社長、長谷川豪さんが寿司の歴史や種類などを分りやすく説明した。記者が見学したのは、日本語学習3年目となる生徒たちのクラスで、日本語の理解力も比較的高く見受けられた。清野さんや長谷川さんの日本語による説明に、同校の日本語教師の橋ヶ迫聡子さんが時折英語で通訳をしながらスムーズに進んだ。その後、長谷川さんによる巻き寿司を作る実演。現在櫻會のスポンサーとして協力している永谷園が提供した、ちらし寿司の素を用いて作った寿司飯を使って、おいしい巻き寿司をきれいに作るコツを披露した。続く実習では、生徒たちが手にくっつくご飯粒と格闘しながらも、楽しそうに取り組んでいた。

 

広く日本の文化を伝える活動を

 櫻會では今年、永谷園の協力を得て、ちらし寿司やお茶漬けの素などをイベントに参加する際に販売してきたが、思ったよりもこうした食品がカナダの人たちに知られていないことに気がついたという。日本ではなじみの深いこうした食品をもっと知ってもらいたいという気持ちから、今回の企画を立て、バンクーバーの学校に持ちかけていたところ、同校からの依頼を受けて実現に至った。清野さんは、「(この企画を通して)日本語を学んでいる生徒さんが、生きた日本語を文化と共に学べたのではないかと思います。みなさんが興味深く聞いている様子も印象的でした」と話す。櫻會は神輿会としての活動をメインとしながら、それだけに留まらず、さまざまな日本の文化を地域のコミュニティに伝えていくことを目指しているという。今回の企画が、活動の発展の第一歩になるのではと考えている。

 講師を務めた長谷川さんは、「(櫻會の)日本の文化を伝えたいという活動をスポンサーとして応援していきたいと思い、寿司についての講義を行うという形で参加しました。(自分も)日本の文化を海外で伝えることが好きですし、若い世代に日本の食文化などを伝えることはとても意味のあることだと思います」と語る。今回ボランティアとして参加した、岡田樹さんと保坂梨里子さんも「楽しかったです」と口を揃える。2人ともカナダデーパレードの時から櫻會にボランティアとして参加している。「日本でもあまりできない経験。カナダに来て改めて日本の文化を学べたという感じですね」(岡田さん)。「意外とちらし寿司とか知られていなかったり、カリフォルニアロールが日本のお寿司だと思っている方がいらっしゃるんですね。生徒さんたちが、おいしいといって、良い反応をしてくれているのがとてもうれしかったです」(保坂さん)。

(取材 大島多紀子)

 

ちらし寿司ときゅうりで作る巻き寿司に挑戦

 

講師を務めた長谷川豪さん (写真 櫻會Ivanさん)

 

ボランティアとして参加した 保坂梨里子さん(左)と岡田樹さん(写真 櫻會Ivanさん)

 

 

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