2017年11月23日 第47号
11月15日朝、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市日系センター・博物館の大ホール。70人以上の参加者を迎えて開かれた「移住半世紀の集い」は、さながら同窓会のような親しみと懐かしさに満ちた会だった。
カナダに夢を馳せて、同じ時代を生きてきた人たちの顔、顔、顔
移民法改正から50年を迎えて
1967年のカナダの移民法改正を受けて、日本人も大勢カナダに渡り始めた。樹々の緑あふれた景色、人々の暮らしぶり、何もかもが新鮮に映った。それから月日は流れて50年。あの頃の思い、これまでの体験、そして今。そうした話に花を咲かせながら、旧交を温め、あるいは新たに知り合う場として開かれたのが「移住半世紀の集い」だ。
交流の時間をたっぷりと
会は、カナダ・日本両国の国歌斉唱、出身地・移住年を伝える全員の自己紹介、記念撮影、そして秋らしい演出の施されたご馳走をとりながらの歓談に、多くの時間が充てられた。その後は、皆で懐かしい唱歌を歌い、有志のスピーチと小冊子の紹介。締めくくりには参加者の感想を聞いて回った。「ご馳走がおいしく、歌や歓談が楽しく、懐かしい顔に会えた会でした」「カナダに来て同じ時代を過ごした人たちと、この場で同じ空気を感じられてよかった」「またぜひやっていただきたい」と皆、大いに満足。会場に満ちていた明るい声と表情も、会の満足度の高さを物語っていた。
有志たちの尽力で手作りのものに
参加者の半数近くが1966、67、68年の3年間の移住者。新移民法施行は1967年とされているが、実際には前年から新移民法に基づく移住が始まっていた。1966年東京で移住査証を取得した人は407人にも上る。
その頃の移住者の一人、洲鎌武さんにより「移住半世紀の集い」と同時に記念冊子作りが提案されたのは昨年のことだ。その提案を受けて、水本正雄さん、橋本潤一さん、そして小笠原行秀さん、大河内南穂子さん、金子達平さん、河野武さん、松尾健一さん、八木原昇さんが集いの企画と準備に奔走。当日は朝からボランティアメンバーも加わり、八木原さんのリードでご馳走の準備に当たった。
カナダ移住記が綴られた 記念冊子
この日の配布にこぎつけようと記念冊子作りに奮闘したのは、洲鎌さんと橋本さん。参加予定者から事前に集めた手記やメッセージを「移住半世紀の集い」と題した80ページの冊子に収めた。冊子からは半世紀前にカナダの地を踏んだ、気概に満ちたチャレンジャーたちの門出の姿がありありと目に浮かんでくる。
会を終え、世話人のまとめ役の水本さんは「皆さんのたくさんのご協力で、カナダ建国150年の年、新移民法施行50年の年に区切りの会を催すことができました」と、安堵の表情で語ってくれた。
(取材 平野香利)
1967年に横浜から同じ貨物船でカナダに渡った平野政己さん(写真左)と水本正雄さん(右)。友情は今も続いている
司会の大河内南穂子さん(右)と閉会の辞を述べる小笠原行秀さん(写真左)
八木原昇さんのリードで準備した和洋中にイタリアン、25もの手作りメニュー(撮影 デトレフセン悦子さん)
橋本潤一さんと日本在住の洲鎌さんが編集した記念冊子。各人のかけがえのない思い出が詰まっている