伝統性と斬新さ

照明を落とした真っ暗な会場で、突じょ2階の観客席から聴こえてきた和太鼓、正面舞台に浮かび上がるように現れた筝、場内後方からは歩きながらの尺八、と驚きの演出で始まった邦楽コンサートの第1部は、三味線と地歌を含む古典的な作品で構成。筝曲『六段の調』の情緒深い旋律からは、「お月さまが目に浮かんだ」という感想も聞かれた。
第2部では、古典芸能にオリジナリティを加えた自作曲など、筝、尺八、和太鼓のコラボで創造性溢れる演奏を展開。日本人ほかローカルのカナダ人に、日本の
伝統と斬新さを紹介した。

筝、尺八と和太鼓のコラボ

『TsuguKaji- KOTO』は結成より10年の、13絃、17絃、25絃で紡ぎ出す筝の美しい音色にこだわるデュオ・グループ。尺八の小濱さんはクラシックとジャズ・ギターを経て、大学のときに和楽器サークルで尺八に出会った。「小さな息で大きな音が出るから小学生でも習えます」と話す。和太鼓の山本さんは9月に出演したヒューストンでのコンサートで、2万人の観客から浴びるような拍手を受け、感動直後の来加だった。
4人は昨年の『日本の音フェスティバルin沖縄』で知り合い、今回が2度めのセッション。
この邦楽コンサートは国際交流基金主催のカナダツアーの一環で、バンクーバーを皮切りにカルガリー、オタワ、トロントの4都市で開催。オタワでは文明博物館での『伝統と革新の国、日本』という特別展の関連プログラムとして公演する。


(取材 ルイーズ阿久沢)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。