2017年7月27日 第30号
企業のグローバル化にともない、さまざまな手続きも国際化に対応する必要性に迫られる局面が、大企業だけでなく中小企業でも増加している。
そうした企業に向けたセミナーが今年5 月29 日、バンクーバー市で開催された。日加協会、HQ Vancouver、Business Council of BC 共催。
今回は特に今年6 月12 日から施行された新就労許可申請プロセス「Global Skills Strategy」を中心に説明が行われた。講師は、EY カナダ・バンクーバー事務所から、移民関係についてクレイグ・ナツハラ氏、フェロン・コスコ氏、給与関連でジェラルド・リアン氏、日本企業サービスから堀田みどり氏。
世界中から優秀な人材を獲得することが必要となる企業にとって、今回のカナダ政府の就労許可証(就労ビザ)取得規制の緩和は期待されている。
移民政策について説明するクレイグ・ナツハラ氏。5 月29 日 Business Council of BC 事務所で
Global Skills Strategy
カナダ政府が昨秋発表した海外からの雇用にともなう就労ビザ取得を一部緩和する政策。ポイントは二つ。一つは移民・難民・市民権省(IRCC)管轄の就労ビザ取得に関する緩和、もう一つは雇用・労働力開発・労働省(ESDC)管轄で外国人臨時雇用プログラム(TFWP)下のGlobal Talent(GT)ストリーム。
就労ビザ取得期間短縮政策
1.海外の人材をカナダに招へいするために必要なビザ取得期間を短縮。カナダ市民権・永住権所有者以外で、危険性の低い、特殊技術を持つ労働者のビザ取得のためのプロセス期間を2 週間に短縮する。
2.短期間滞在の場合の就労許可証免除。1 年間で滞在が30 日以内である場合、もしくは短期間の学術研究的な滞在について就労許可証を免除する。
Global Talent(GT)ストリーム
労働市場影響度評価(LMIA)によって決められた条件に適合する場合に限り適用される試験的に導入されたパイロットプログラム。試験期間は24 カ月。
条件は2 項目からなり、一つは、急成長する企業で特殊な技術を要するグローバルな人材が必要と認められた場合、もう一つは、労働者不足職種リストに含まれているカナダの労働市場で不足している職種を補うために海外から雇用する場合。
この就労ビザ取得期間は、LMIA の審査に2 週間、移民省の審査に2週間、約4週間を目指すと政府は説明している。
EY カナダ・バンクーバー事務所
この他にも、ビジネス目的で入国する時の注意点や、労働ビザ取得後にカナダで一定期間就労したのち永住権を取得するための方法、国境を越えた給与問題などについても説明された。会場には定員を超える人々が参加し、カナダでのビジネスに対する関心の高さがうかがえた。
EY カナダはトロントを拠点とし、国内主要各都市に事務所を構える。政府や民間企業の会計監査、税務、各種アドバイザリーを手掛けている。日系企業向けサービスとしてジャパン・ビジネス・サービス(JBS)を提供している。今回はバンクーバー事務所から4 人の講師が参加した。
(取材 三島直美)