2017年5月18日 第20号

バンクーバーのJINYA Ramen Barダウンタウン店が新しい場所に移転し、4月21日に再オープンした。キャナドゥ・エンタープライズ社が手がけた新店舗は、通りに面した部分がガラス張りになっており、開放的でスタイリッシュな雰囲気だ。この新店舗について同店のオーナーである遠竹啓太郎(とおたけ・けいたろう)さんに話を聞いた。

(取材 大島 多紀子)

 

 

ーJINYAのダウンタウン店がオープンしたのはいつですか?

 2012年です。

ー移転のきっかけは?

 JINYAはアメリカのほうでどんどん店舗を増やしていて、ラーメンだけでなく、お酒も飲めてタパスも楽しめるというようなコンセプトに、だんだんと完成してきました。(旧店舗のほうでは)そのコンセプトに沿えないところがあったなか、テラスガーデンという新しいビルでスペースを借りることができました。それで移転を機に今のブランド、コンセプトに合わせたお店にしようということになりました。

ーJINYAさんはアメリカに本部がありますね。

 アメリカのロサンゼルス(LA)に本部があり、バンクーバーにあるお店もLAにあるJINYAのフランチャイズ店舗になります。他にも、ケリスデール(バンクーバー・ウェスト)にも店があります。7月にはメトロタウン店もオープン予定です。この2つのお店は(ダウンタウン店とは)別のフランチャイズです。

ーお客さんの層は?

 ほとんど日本人の方はいなくて、現地の方たち、この近くのオフィスで働いている人たちとか、若い人たちとか。ですから既存のラーメン屋という感じではないですね。今まではアジア系の人も多かったんですが。コンセプト自体がローカルの人が好むようなものを目指しているんです。

 味自体は日本人が食べても納得していただけるものを出してますが、雰囲気とか売り方が(違う)。価格もラーメンだから安いというわけでもなく13〜14ドルくらいですし。あとはビーガン対応をしていたり、パクチーが入っていたりとか、通常日本人が思うラーメンの定義もありますけど、それ以外の要素も入れているんです。

ー新店舗への反響は?

 1日を通して平均して20分くらい待っていただくような感じです。前からのお客さんもいますけど、全然違う感じの方も来てくださってます。

ー人気商品は?

 トンコツ・ブラックとか、ビーガン対応のベジタブル・スープ・ラーメンなどです。 ラーメン屋さんってどうしてもスープが豚骨だけだったりとか、チキンだけだったりとかするんですけど、うちの場合、豚骨もチキンもベジタリアンもあるし、その中でもしょうゆ、みそ、辛いのがあったりするので、何人かで来ても、みんな違うものを楽しめる。そういう部分では支持されているんではないかと思います。

ーお酒も各種置いてますね。お酒を飲みながらタパスをつまんでラーメンも食べて、と楽しみ方がいろいろありますね。

 日本のラーメン屋というものをある意味で否定しているので。そういう感覚で日本人の方が来られると期待が外れると思うんですね。現地の嗜好でやって現地の人に受け入れられる、ある程度溶け込んで新しい文化を作っていくということが、ラーメンJINYA Ramen Barとしてのブランディングになっている感じです。

ー新店舗はどんな感じですか。

 音響もしっかり入ってますし、設備もしっかりしたものを入れてます。

ー店舗の工事をキャナドゥさんにお願いした感想は?

 施工は11月くらいですので(完成までに)5カ月くらいでしたね。(キャナドゥさんは)スケジュール管理とかしっかりしてますので、そういうところでトラブルもなく、早い工期でやってくれるので、安心して任せられますね。10年以上のつきあいがありますので心配もなく、全面信用してます。日本語で対応してくれるので、専門的な用語とか、材料など手に入れなくてはならないものを探す時にも任せられるのも安心です。

ー今後の展開などありますか?

 (会社ベースとしては)特にないのですが、とりあえずは新店舗を軌道に乗せることを目標としています。

ーラーメンはバンクーバーで人気ですね。

 日系人や日本人だけを対象にビジネスをしているという時代ではないですよね。ローカル化しないと長くは続かないんで。そういう中でもクオリティの高いものを残していかないと次の時代にいいものが育っていかないと思います。ラーメン屋も今は雨後の筍みたいに、中国や韓国の人がオープンするじゃないですか。昔の寿司屋と一緒ですよね。今、日本人がやっている寿司屋なんて少なくて、そのクオリティといったら日本人は寿司屋としてはほとんど行かないんじゃないでしょうか。そういうふうにならないように、ローカルに合わせてクオリティの高いもので成長させていこうということが大事だと思うんです。そういう意味では(日本食レストランの)ミクさん、ミナミさんなんかもローカル化して、寿司なども高級なものであっても(クオリティを)認められるものにしていったと思うんです。そういうところで一歩階段を上っている感じですね。

 メトロタウンでも日本人が小さいお店をオープンしたりしてますけど、個人でやっているといつかは閉まるなりしてしまって、そのあと、そこで働いていた人が真似して…。結局は競合してマーケットが荒れてきますよね。荒れるんじゃなくてマーケットを育てていかないとあまり意味がないんで。そういうことを考えてJINYAのフランチャイズやブランドをやってるということがあるんですね。

ー新報の読者へのメッセージをお願いします。

 価格とかはラーメンとしてはちょっと高いかもしれないんですけど、ラーメンだけじゃなくて雰囲気とかソーシャルの場というか、みんなが来てワイワイお酒を飲んでラーメンを食べて…という、そういう場としてのお店なんで、そういう感覚でぜひ一回トライしてほしいな、と思います。

 

 JINYA Ramen Barの新店舗は、以前の店舗から2ブロックほど西の場所になるロブソンストリートとリチャーズストリートの角にオープン。店舗の広さは2961スクエアフィートと以前の2倍以上の大きさで、店内はテーブル、バーカウンターなど合わせて61席、パティオ(2017年夏完成予定)の28席も入れると全89席。それぞれのテーブルの間もゆったりとした配置になっている。モダンでありながら、落ち着いた空間が演出されていて、ラーメン屋というよりは、おしゃれな居酒屋といった趣だ。

 

JINYA Ramen Bar
住所:541 Robson St. Vancouver
電話:604-699-9377
ウェブ:www.jinya-ramenbar.com
営業時間
月〜土 午前11時から午後11時まで  
日  午前11時から午後10時まで

 

一番人気のトンコツ・ブラック(上)と、ほうれん草ヌードル入りのチキン・ラーメン(写真提供 JINYA Ramen Bar)(Tonkotsu Black and Chicken Ramen)

 

野菜たっぷりヘルシーなベジタブル・ラーメン(写真提供 JINYA Ramen Bar)(Vegetable Ramen)

 

 

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。