バンクーバーが生んだ
 世界的ピアニスト

バンクーバーで生まれた日系カナダ人ジョン・キムラ・パーカーは、4歳より母パーカー敬子さんと父方の叔父、エドワード・パーカーに師事。ピアニストのジェイミー(ジェームス)・エドワード・キムラ・パーカーは実弟、同じくピアニストのイアン・パーカーはいとこにあたる。
 5歳でバンクーバー・ユース・シンフォニー・オーケストラに参加。バンクーバー・アカデミー・オブ・ミュージック、UBC、ジュリアード音楽院を経て、1984年のリーズ国際音楽コンクールでカナダ人として初めて優勝したほか、数々の国際コンクールで入賞経験を持つ。
 音楽を広めるカナダ親善大使として、イギリス女王エリザベス2世、アメリカ最高裁判所、カナダと日本の首相の前で演奏という栄誉にも恵まれた。世界中で演奏活動を行うほか、CBCテレビやラジオのクラシック音楽番組にも出演。居住地アメリカ・ヒューストンにあるライス大学シェパード音楽学校のピアノ科教授として、後輩の指導にも力を入れている。
 1996年にカナダ総督賞(舞台芸部門)、1999年にはカナダ勲章(オーダー・オブ・カナダ)を叙勲。最も地位の高い“オフィサー”の称号を授与されている。妻はバイオリニストのアロイジア・フリードマンさん。

 

ラフマニノフの
 ピアノ協奏曲第3番

この公演で演奏するのは、ラフマニノフの代表作のひとつ、ピアノ協奏曲第3番。ラフマニノフが作曲家として最高潮を迎えていた1909年に書いた作品で、演奏者に課せられる究極の技巧、音楽的要求の高さで有名な至難の大曲である。
 曲名を知らなくても、1996年のオーストラリア映画『シャイン』と聞けば、旋律を思い出す人も多いはず。同映画は、コンクールの難関と言われるこの作品に挑む天才ピアニストの生涯を実話に基づき描いたことから話題になった。
 哀愁に満ちた美しい旋律で、ラフマニノフ作品の中でも際立って感動的なものと言われる作品。パーカー氏は「多くの若い演奏家に強い恐怖心を与えるような協奏曲とも言えます。深みのある作品で、クライマックスが非常にパワフルです。この曲を聴くのはまるで滝の下に立っているようなものではないかと、いつも思っています」とコメントしている。

 

母、パーカー敬子さんの声

忙しいスケジュールの合間をぬって、4月の「頑張れ日本」のコンサートでも演奏した。40年間音楽理論とピアノを教えてきた母親のパーカー敬子さんは「モーツァルトのピアノ協奏曲を自分で指揮しながらピアノも弾くという、モーツァルト当時の演奏の仕方でやりました。地震支援の為のコンサートに演奏を依頼されたのは名誉あることですし、日系人のひとりとしてお役に立てたことがとても嬉しかったと思います。最後の『太鼓フォ-東北』の演奏にはとても感動していました」と話す。
 ピアニストになったふたりの息子さんがバンクーバーに演奏しに来るのは、いつでもうれしいことだと目を細める。「今回はバンクーバー・シンフォニーのオープニング・コンサートですので、とても名誉あることと思っています。曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番という難しい曲です。ピアニストの同僚との間では、譜面が音符で一番真っ黒な曲だと言われています。その上ジョンの楽譜は緑色、赤色、青色等様々な色鉛筆で、自分だけにわかる印がつけられていることでしょう。ロマンチックの代表のような作品ですから、大いに盛り上がるようにと期待しています」と話している。

 

VSO  2011-2012シーズン
注目アーティストが続々登場

9月24日のオープニング・コンサートを皮切りに、VSO音楽監督ブラムウェル・トービー氏とVSOが、今年もクラシックからPOP、子どもや家族向けなど幅広く華麗な演奏会を展開する。
 スペシャル・コンサートではピアニストのランラン(11月4日)がベートーベンを演奏するほか、テクニックはもちろん演技力抜群のソプラノ歌手レネー・フレミング(3月21日)など大物アーティストが登場。ワーナー・ブラザーズの人気キャラクター、バッグス・バニーも舞台にお目見え(11月19、20日)。バンクーバー五輪開幕式で『オーカナダ』を披露したモントリオール出身のティーンエイジ・ジャズ歌手ニッキ・ヤノフスキー(10月5日)や昨年のコンサートが完売した注目のトランペット奏者クリス・ボッティ(5月2日)も見逃せない。『オズの魔法使い』のコンサート(4月2日)では、巨大スクリーンに映画の画面が写し出される趣向も。
 各コンサートの詳細は、パンフレットやVSOのホームページで。電話での注文、年間購買に関する質問にもスタッフが丁寧に応対してくれる。美しいオーフィアム・シアターで聴く生演奏の迫力、素晴らしさは、CDとは違った感動を与えてくれること間違いなしだ。


バンクーバー交響楽団

ジョン・キムラ・パーカー(ピアノ)

ブラムウェル・トービー(指揮)

9月24日(土)、26日(月)

オーフィアム・シアター、8pm

$26.75 - $84 (シニア、学生、年間購買者割引)
チケット www.vancouversymphony.caまたは604-876-3434


読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。