2016年9月15日 第38号
第35回バンクーバー国際映画祭(VIFF)が、9月27日から10月14日に開催される。35回目という節目から、ことしは「VIFF HUB」と題したスクリーン以外のトーク、深夜の音楽、バーチャルリアリティー体験などもプログラムに含まれている。9月7日にVancity Theatreで開かれたプレスコンフェレンスで「ことしも様々なジャンルの映画を約束します」とエクゼクティブディレクターのジャクリーン・デプイ(Jacqueline Dupuis)さんがエネルギッシュに語った。彼女は大手会社のビジネスマネージメントやカルガリー国際映画祭を経て、2013年から「BCスポットライト」などバンクーバーで新たな企画を発信している。当日発表された作品はオープニングの『Maudie』とクロージングの『Voyage of Time』。「どちらの作品もスケールが大きい」とデプイさんが太鼓判を押した。
1982年からノンプロフィット団体として発足し、BC州の映画産業を推進してきた映画祭。国際映画のプログラム担当のアラン・フレーニー(Alan Franey)氏はアジア映画部門(Dragons & Tigers)の見所について、まずウェイン・ワン監督による俳優・北野武主演の映画『女が眠る時』と、是枝祐和監督の『海よりもまだ深く』を挙げた。また映画『昼も夜も』と『約束』の塩田明彦監督、『食卓』の小松孝監督と俳優、『仁光の受難』の庭月野議啓監督、『東北の新月』のリンダ・オオハマ監督など、日本映画のゲストがことしも登場するのでお楽しみにと語ってくれた。
VIFFは北アメリカの映画祭の中でも規模が大きく、ことしもBC、カナダ、世界から選ばれた300本以上の映画が9つの映画館で一挙に公開される。さらにベスト映画賞、新人監督賞、ベストドキュメンタリー賞、短編映画賞や各スポンサー主催の各賞がカナダとBC映画を対象に選ばれるため、カナダ映画界にとって貴重な映画祭となる。カナダ映画のプログラマー、テリー・マクエボイ(Terry McEvoy)氏は「笑ったり泣いたりできるカナダ映画をお届けします」と約束した。当日は『KONELĪNE: our land beautiful』のネティー・ワイルド(Nettie Wild)監督、『Mixed Match』のジェフ・チバ(Jeff Chiba)監督などカナダ映画の監督や俳優がそれぞれの映画をアピールしていた。表現の自由が許されているカナダならではの各界の不平等さを訴える映画やカナダらしい美しい自然の映画など、通常ニュースでは見られない映像体験ができるのでおススメだ。
全ての上映映画が掲載された無料のVIFFカラー版ガイドはバンクーバー市内の各映画館で入手、もしくはオンライン(www.viff.org)で読める。昨年14万枚売れたといわれる映画のチケットは1枚15ドル。人気映画のチケット購入はお早めに。
(取材 ジェナ・パーク)
エクゼクティブディレクター: ジャクリーン・デプイ(Jacqueline Dupuis)さん
フレンドリーなカナダの俳優たち
医学問題を提示する日系4世のジェフ・チバ(Jeff Chiba)監督
(左から)カムラン・アメッド(Kamran Ahmed)さん、ネティー・ワイルド(Nettie Wild)監督、テリー・マクエボイ(Terry McEvoy)さん
国際映画のプログラマー:アラン・フレーニー(Alan Franey)さん