2016年9月8日 第37号
もう一つも負けられない。残り7試合。全勝してもプレーオフ進出が保障されない現状で迎えたニューヨーク・レッドブルズとの1戦。ホームで久しぶりの勝利をあげ、残り2カ月のプレーオフ争いに望みをつなぎたい試合だった。
この試合途中出場のFW工藤(#9)。先発を外れると聞いたのは試合の約2日前という。前週アウェーでのLAギャラクシー戦では出場機会すらなかった
9月3日(22,120)
バンクーバー ホワイトキャップスFC 0 - 1 ニューヨーク・レッドブルズ
前半は両チーム無得点。キャップスは決定的なゴールチャンスが3度ほどあったが、FWハタード(#19)が決め切れなかった。ロビンソン監督は前半終了間際に退場処分となり監督不在の後半。レッドブルズFWライト‐フィリップスが中央からゴールを決め、この1点が決勝点となった。
プレーオフに赤信号点滅か?
残り試合全勝し、プレーオフ進出に望みをつなぐために重要な一戦だった。相手は、東カンファレンス3位のニューヨーク・レッドブルズ。年に一度しか対戦はないが、ここまでの対戦成績は3年連続ホワイトキャップスが勝利と弾みをつけるには絶好の相手だった。しかし、7試合連続で白星から見放されているチームにとって、この日も勝利は遠かった。
レッドブルズのマーシュ監督が語った「前半を0‐0で終えられたのはラッキーだった」の言葉が全てを物語っていた。ロビンソン監督も「どうやって負けたのか分からない」と言ったほどキャップスが押していた試合だった。
何度もゴールチャンスがあった。この日先発でワントップに入ったFWハタード(#19)に巡ってきたゴールチャンスは最低でも6回。本人も頭を抱え込むシーンが何度もあったほど決定的なチャンスをものにできず、3試合連続無得点で競り負けた。
ロビンソン監督は何度も絶好機を逃したハタードを責めることはしなかった。この日彼を先発とした理由を「LA戦での動きが良かったから」と説明。FW工藤(#9)とは違ったプレースタイルができることに今日の相手に適当だと思ったと語った。
しかし結果として無得点。チームは3引き分けを含む8試合白星なし。最後に勝利したのは7月13日。「試合内容は良かった」と監督。国際試合参加のため6選手が抜けるという苦しい台所事情で健闘した選手を称えたが、この時期までくれば、内容ではなく勝つことが最優先。残り6試合。すでに赤信号さえ点滅し始めたプレーオフ進出に向け、「まだ終わっていない」と語気を強めた監督の手腕が試される。 「これから壮人にも先発機会はある」
皮肉な話だが、この日のようにワントップのフォワードにこれだけボールが集まる展開であれば、先発が工藤なら間違いなく勝てた試合だった。もちろんスポーツに「たら・れば」はないが、こういう試合展開が工藤の先発の時にできていれば、白星はもう少し伸びていたはずだ。
監督自身もこの日記者から、「工藤壮人について現時点でどのように判断しているのか、今以上の何を期待しているか、(今日のような)12分の出場ではなく、それ以上にメリットがあると思うが」との質問に、ハタードを先発させた理由を述べた後「壮人はフィニッシュが素晴らしい選手」と語った。今後の試合で先発する可能性も示唆した。
工藤は「もっと早く交代がきてくれるかなって思ってたんですけど」と残念そうに語った。この日も試合開始早々から一人で準備体操するなど、いつでも交代できる準備をしていた。しかし先発で左サイドに入ったMFテチェラ(#13)と交代出場したのは79分。相手もすでに勝ちに向けて時間稼ぎモードで「なかなか難しい時間帯でもありました」と終盤での途中出場の難しさを語った。交代する直前に立て続けにキャップスにゴールチャンスが巡っていた。そうした場面で自身がピッチにいないもどかしさも垣間見せた。
「ほんとにこういうゲームをこの時期に落とすというのは、もう痛いというのでは片づけられないです」と工藤。自身も7月16日ケガから復帰後の初先発で今季2ゴール目をあげて以来、ゴールから遠ざかっている。それでも「次出た時に結果を出せるように準備するだけです」。残り6試合、フォワードとしてチームの勝利に貢献し、なんとかプレーオフ進出を実現するために前を向いた。
(取材 三島 直美 / 写真 斉藤 光一)
9月のホームゲーム
9月24日(土) 4pm コロラド・ラピッズ戦(CCL)
9月28日(水) 7pm セントラルFC(トリニダード&トバゴ)戦
(CONCACAFチャンピオンズリーグ:CCL)