当日の天候は曇りでやや肌寒かったものの、家族連れや学生など大勢の客でにぎわった。新渡戸庭園の入り口付近には、大きな桜の木が1本あり、ちょうど見ごろをむかえていた。また、庭園内にはちょうちんも飾られ、庭園に趣を加えていた。
このお祭りでは、お花見に加えて、日本文化を体験することができる。特に、折り紙教室には多くの子供たちが訪れ、大人気であった。子供たちは、ボランティアたちから鶴の折り方を丁寧に教えられた。鶴を完成した子供たちからは、”Cool!”や「上手にできたよ」などの声が聞こえた。ボランティアとして折り鶴を指導した女性は、「自分で折った鶴を、お母さんに見せるお子さんたちが多かったですね。特に、女の子に大人気のようです」と、語っていた。
また、浴衣教室も子供たちや女性たちに大好評であった。ボランティアとして着付けの手伝いをしていた女性は、「私自身、着物が大好きなので、着物の素晴らしさをカナダの人々に広く知っていただければ嬉しいです」と、コメントしていた。
さらに、新渡戸庭園内の茶室では、裏千家主催によるお茶会も開かれた。参加者は作法を学びながら、振舞われたお茶やお菓子をじっくりと味わっていた。茶室は外から見学できるため、参加できなかった人々も縁側に多く集まった。縁側に集まった人々は、お茶会の様子を写真撮影するなど、興味深そうに見守っていた。
この他にも、琴の演奏や桜俳句・桜写真コンテスト、紙芝居などが催された。中でも琴の美しい音色は、訪れたたくさんの客を魅了していた。
また、今年は特別に、東漸寺の住職が東北地方太平洋沖地震の被災者のために、UBC・パシフィックベル前で祈祷を捧げた。
さらに、このお祭りで、地震の被災者のために募金活動も行われた。会場内で有機栽培シイタケまたはヒラタケを購入した人のお金が、そのまま募金になるという。BC州に本社があるマッシュルーム会社が、これらの商品を無料で寄付したとのことだ。木曜会は、今回のお祭りで集まった募金を、全額カナダ赤十字社に送金するそうである。
<木曜会~Vancouver Mokuyokai Society>
日本とカナダの相互文化理解の向上を目的に、1982年に設立された非営利組織。個人的に日本に関心を持っている人、あるいはビジネスを通じて日本と接点を持っている人など、多くのカナダ人や日本人が会員として参加している。木曜会は、会員や一般の人々のために、1年を通してハイキングやカーリングなどイベントを多数企画している。今回行われた「お花見祭り」は、その1つ。木曜会についての詳細は、ウェブサイトwww.mokuyokai.bc.ca
(取材 熊坂香)