仏教の開祖・釈迦の誕生日と悟りを開いた日、および入滅を記念する祭、ウェーサク。この日をバンクーバー近郊の仏教寺院が一堂に会して祝うイベント、BC州仏教フェスティバルが5月29日、同市クィーン・エリザベス公園で行われた。会場となったローン・ボーリング場横の芝生では、式典のほか民族舞踊のパフォーマンスなどが繰り広げられた。
息のあった優雅な動きで会場を魅了した、彩月会の舞踊『こんちき踊り』
釈迦の誕生を祝う
ウェーサクは、お寺で僧侶の話に耳を傾け、他人を敬い平和的に生きるという仏教の教えを再確認する日でもある。そのような仏教のメッセージを、より多くの人に伝えることはできないかという発案から、このイベントは始まった。2年目となる今年は15カ国31の仏教寺院・団体が参加。日本からは浄土真宗本願寺派のスティーブストン仏教会が、同派フレーザー・バレー仏教会と合同で参加した。
平和のための、協力を呼びかける
開会式ではイベントの発起人、チベット仏教のツェンドク・リンポチェ師が挨拶。仏教の世界観によれば外の世界と個々人の心は表裏一体の関係にあり、世界が平和になるためには、一人ひとりの心が平和になることが必要だと述べた。
またBC州政府のテレサ・ワット・アジア・パシフィック地域および多文化政策大臣や、レイモンド・ルーイー・バンクーバー市長代理も、平和を願う仏教祭典の開催に賛辞を送った。
開会式に引き続き、誕生時の釈迦を模した像にひしゃくで水をかける、釈迦の誕生を祝う儀式が僧侶たちによって行われた。
仏教と深いつながりを持つ、日本文化
会場では瞑想のワークショップや書や絵画の展示なども行われ、公園を訪れた人々の興味をひいていた。そのほかキッズコーナーでは、フレーザー・バレー仏教会が中心となり、折り紙などの日本の伝統的な遊びを紹介した。
また民族舞踊を紹介するステージでは、日本舞踊西川流彩月会が、『さくらさくら』と『こんちき音頭』を披露、会場を魅了した。同会の西川佳洋師範によると『こんちき音頭』は、京都・祇園の芸者が八坂神社に奉納する、めでたい踊りとのこと。彩月会では当初、この踊りを8月のパウエル祭で初披露するつもりだったが、今回の趣旨に合うということで、予定を繰り上げての初演となった。
また、僧侶のために振舞われた昼食は、リッチモンドで日本食レストランを経営する竹内さんの作。ほとんどの僧侶がベジタリアンであり、中にはネギやニンニクなども控えている寺院もあり、その内容には一苦労したという。しかし僧侶の間でも日本食は人気メニュー。しっかりと味がついた料理に、おかわりをする僧侶もいたほどだった。
青空のもと、 市民の憩いに溶け込んだイベント
当日は午後には快晴となる好天にも恵まれ、また市内有数の市民の憩いの場所ということもあり、各寺院の僧侶や仏教徒らの交流だけではなく、たまたま訪れた多くの一般人との交流も盛んに行われた。
閉会式では、イベントを支えてきたボランティアたちへの感謝状授与が行われ、最後にチベット仏教の読経で締めくくられた。
(取材 平野 直樹)
僧侶の昼食には、ベジタリアン和食が提供され大人気だった
イベント発起人のツェンドク・リンポチェ師(左)とスティーブストン仏教会の生田真見開教使(右)
ウェーサクの儀式に用いる、誕生仏像を安置した花壇
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