5月15日、バーナビーのマイケルJフォックス・シアターで混声合唱団『さくらシンガーズ』の定期演奏会が開かれ、団員のうち25人が出演した。主賓の岡井朝子在バンクーバー日本国総領事ほか約500人が会場に足を運んだ。
さくらシンガーズと、この日ゲスト出演したみなさん
46年の歴史
冒頭でさくらシンガーズ役員のジョイス上倉さんが「始めに、懐かしい唱歌を通して皆さんを日本の四季へお誘いします」と挨拶し、女性団員が青地に桜模様の着物姿、男性団員がはっぴ姿で舞台に立った。
岡井朝子総領事は「バンクーバーに着任してまだ数週間ですが、みなさまから温かい歓迎を受けております」と挨拶し、46年間音楽への情熱を持ち続け当地の音楽家やコミュニティにインスピレーションを与えてきた音楽監督及び理事長のルース鈴木先生に感謝の言葉を述べた。
日本から新移住者が増え始めた1970年、JCCA傘下の混声合唱団が発足し、鈴木先生の指導で歌の練習を始めたさくらシンガーズ。
「まずは発声が大切。響く声を出しなさいと指導されています」と理事で副指揮者の中堀忠一さん。日本語を話さない団員のひとりギャリー・ヘンプヒルさんはローマ字で歌詞を覚え、日本語を話す中国系の妻に意味を確認するという。
充実したプログラム
10余年前に亡くなった団員の古本ほし子さんが残した寄付を用いてコミュニティへの恩返しとして無料チケットを配布し、日本の歌を聞いてもらおうとシニアの送迎やシニア席を設けるなど気遣いもみられた。
ゲストには鈴木先生の孫の鈴木ゼイナンさん(バリトン)の独唱、コリーン・ランキ(藤間左由)さんとライアン・キャロンさんの日本舞踊、さくらシンガーズの伴奏者、新屋宗一さんのピアノ独奏などプロのゲスト・パフォーマンスを組み込み、女声合唱でスタジオジブリの軽やかな歌も取り入れた。
スキヤキ・ソングで有名な『上を向いて歩こう』が始まると「I like this song」と言う声が客席から聞こえた。
新しい和音に挑戦
今回のプログラムは作曲家・松下耕の組曲『水脈速み』(みをはやみ)、『信じる』に重きを置いたと話す鈴木先生。「『水脈速み』はお能の雰囲気で始まり、中途から西洋のハーモニーが入って盛り上がる曲です。団員たちが今までに慣れているハーモニーと違い、新しい和音に馴染むのに大変苦労しました。団員たちの熱心さ、難しいピアノ伴奏をこなしてくれた新屋宗一さんに感謝です」と話す。
壮大感、力強さ、混声合唱が作り出す声の厚みで豊かに表現されたフィナーレ。大きな拍手のあとは観客も一緒に『さくら さくら』、『花』を歌い、日本の歌を楽しんだ。
(取材 ルイーズ 阿久沢)
着物姿で懐かしい唱歌メドレー『ふるさとの四季』
最後はルース鈴木先生のリードで「ご一緒に歌いましょう!」
冒頭の挨拶をした岡井朝子在バンクーバー日本国総領事
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