現在熊本県上益城郡益城町に拠点を置き活動をしている連盟カナダ支部の菊地隊員より現地での活動書記が届きましたので、その中からいくつかを報告させていただきます。yle="line-height: 175%;"> 

 

 今日は離れて、阿蘇方面への現地視察へ。通常なら車で約1時間の道のりが、今回の地震によりあちらこちらの道路が寸断されているため、目的地まで倍の2時間を要した。道路から見える山肌には、今回の地震の影響と思われる小規模な崖崩れもところどころで見受けられる。一部のスーパーマーケットなどの商店は営業を再開しているものの、一般家屋に目を向けてみれば屋根瓦が無惨にも剥がれ落ちていたり、一階部分が潰れたり完全倒壊した家屋も少なくない。すでに報道されているように、阿蘇から南阿蘇へ通じる阿蘇大橋が寸断されているため、やはり陸路では通常の倍以上の時間が必要である。

 GWも終り通常生活を取り戻そうとする皆が、家の片付け作業に追われる姿が目に映る。 南阿蘇から戻り休む暇なく益城町内にある倒壊家屋内から、位牌、通帳、金品、着物類の見つけ出し及び倒壊した納屋から耕運機の運び出しをして欲しいとの要請があり、大阪、福岡、神奈川そしてカナダ支部隊の4部隊にて終日同じ場所にて活動展開。日中の気温26度という過酷な作業環境の下、午後5時前に全ての依頼を完了、ご家族にお渡しすることが出来ました。作業終了後、バンクーバー日系ガーデナーズ協会や、バンクーバーにいる日系人の皆さんからご支援をいただいていた物資(手袋、ゴーグル等)をご家族や近隣住人の皆さんにお渡しさせていただきました。

 暑い一日、今日は益城町内にある専寿寺(築1915年)で、貴重品、着物、保険証や印鑑、檀家さん住所録、重たい釣り鐘などの掘り出し作業から活動開始。住職さんに大体の場所を確認し、チェーンソーで切り開きながら細かい瓦礫等を片付けつつ、全ての依頼品を発見。最後は、全壊した本堂の天井絵を130枚掘り出すことに…。「仏像は、最初の地震後に運び出したので助かりましたが、次に大切なものは、建立された時の支援者が描かれた明治時代の天井絵なんです…」と住職。このお寺の宝だそうです。倒壊したお寺の中の崩れて迷路の様に重なりあった柱を潜り抜け、収集して住職さんに。協働ボランティアチームとの共同作業も、人海戦術で助かりました。

 やはり私にとっての活力は「喜ぶ笑顔」で皆さんの笑顔を見ると嬉しくなります。 これからもそんな皆さんの心に寄り添えるように「出来る限り」支援を継続します。

 現在連盟の支援復興部隊が行っている活動は「私的財産保護活動」というものです。財産ということで、もちろん高額な財産価値のある物もありますが単に物理的な物だけではなく人の心を満たす物まで人それぞれ。人によってはお金よりも一枚の写真が大切な場合があります。今回の震災でも様々な思いで人々が生きていくなかで「思い出」に心寄せる気持ちを私達が取り戻して行きたいと思います。ですが、これまで返却してきた方々の表情や言葉に対して何も言う事はないですし、何も言えません。私達自身も多くの人の中で生きているのですから。

(記事提供  日本警察消防スポーツ連盟カナダ支部)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。