朝8時から夜8時までの12時間、この集いに賛同した様々な宗教団体がスティーブストン仏教会本堂に集まり、交代で祈りを捧げた。朝8時に仏教会の生田真見僧侶によるお経の唱和から始まり、中国のお寺、教会、チベットのお寺などが続いて日本の犠牲者と被災者に対して祈りを捧げた。仏教会による 念仏の唱和、黙想なども時間ごとに行われ、本堂には絶えず人々が訪れ、想いを共有した。
仏教会本堂前には、カナダ赤十字宛てとバンクーバー日本総領事館宛ての二つの募金箱が設置され、訪れた人々が募金していた。また、別の部屋では、被災者にあてた手紙を書いたり、千羽鶴を折るコーナーもあり、日本人のボランティアが鶴の折り方を教えたり、子供たちが被災者に宛てた手紙を書いていた。
伊藤秀樹在バンクーバー日本国総領事もこの祈りの集いに駆けつけスピーチを行った。スピーチの中で「日本を襲った観測至上最大の地震は、多くの人々を奪い、家を奪い、そして未だ行方のわからない方々もたくさんいます。人間のもろさに悲しみを感じながら、しかし同時に人間の尊さも感じています。ここカナダでもたくさんの方々の自発的な募金活動やボランティアの申し出、カナダ政府においても、毛布、義援金の支援を頂き、感謝と勇気を頂きました。カナダと日本は太平洋を挟んだ隣国であり、国籍を超えた暖かい人間性を共有していることをとてもうれしく思い、感謝いたします」と述べた。
日本語プレイグループ宝島による子供たちの合唱が行われ、「皆さんの明るい未来に願いを込めて歌います」と全員で挨拶してから、「上をむいて歩こう」と「Believe」を合唱し、会場からは大きな拍手が起こっていた。
浄土真太鼓の演奏も行われ、震災で傷ついた人たちに向けて、力強い太鼓の音を響かせた。
リッチモンド市議会議員ビル・マックナルティ氏も集いに参加し、「地震で多くのものを失った日本の皆さんにリッチモンド市としてもJapan Relief Fundを設立して日本の再建を支援していきたい。時間はかかっても、一緒にがんばっていきましょう」と語った。
日本のお寺、浄土宗の池口龍法氏とスカイプでつながり、生中継の法要が行われる場面もあり、遠く離れた日本とカナダが同じ時間を共有して祈るという貴重な機会を得ることもできた。池口僧侶の発声と共に、参加者たちは手を合わせ一緒に「南無阿弥陀仏」を合掌した。
仏教会・生田真見僧侶は「今回の大震災で亡くなった方々、被災された方々、苦しい日々を余儀なくされている方々を偲ぶとともに、世界中が日本を応援していることを伝えたいと思いました。この機会を通して、祈りや、瞑想、折鶴を折ることで私たちの声を日本に届け、日本に希望の光を届けたいと思います」と語った。
(取材 ブロック悦子)