ようやくトンネルを抜けた。ここまで無得点、無勝利だった4月。その悪い流れを断ち切るように、 満員のホームで首位ダラスFCを撃破した。

 

キャップス2点目、ハーベイのゴールに大喜びするキャップス11。連続無得点からようやく解放された瞬間

 

4月23日(22,120)
バンクーバー ホワイトキャップスFC  3 -0  ダラスFC

キャップスの先制点は35分ダラスDFのオウンゴール。追加点は63分、MFテチェラ(#13)のCKからゴール前でボールが弾かれたところをDFハーベイ(#2)が決め2点目。さらに77分にはMFマニー(#23)がGKの足の間を抜けるシュートを決め、ダメを押した。

 

4試合ぶりの得点、3得点は今季初

 この日の1点目は、3月26日BCプレースでのヒューストン・ダイナモ戦で23分にMFモラレスが決めたPKゴール以来、実に4試合ぶり。しかも相手DFに当たり、そのままゴールするというラッキーなオウンゴール。それでもこの1点で無得点の呪縛から解き放たれたようにキャップスの選手の動きが変わった。

 ハーベイの2点目でキャップスが完全にペースをつかむと、マニーの3点目は相手GKと1対1になっても余裕すら見られるダメ押しゴールとなった。

 「とにかく試合に勝つことが全て」とロビンソン監督。1点目が相手のオウンゴールだろうと、チームのゴールだろうと、かまわない。今日は「ツキがこっちにあった」と勝ち点3を取れたことを重視した。

 この日は2ゴールが決まり、得点力に注目が集まったが、やっぱり殊勲はGKウーステッド。「今日は特によかった」とロビンソン監督。特に前半は「驚異的な」と監督が表現するほど超好セーブを何度も決め、チームの危機を救った。強敵ダラス相手に、先制されていれば試合展開はどうなっていたか分からない。ダラスのパレヤ監督もウーステッドのスーパーセーブを称賛し、今日はキャップスの方が良かったと認めた。

 

工藤は出番なしも次試合に期待

 今週は連戦となるため、この試合で工藤の出番はなく、次試合に温存という形となった。試合後、「今日はベンチから見て僕の得意な相手だなっていう感じはしたんですけど」と工藤。「前半からディフェンスラインをすごい高いラインで設定してたんで、もう動きだし一本でキーパーと1対1つけそうだなっていうイメージはしてたんですけど」と出場できなかったことを悔しがった。ベンチ横でもずっとウォーミングアップを続けていたが、結局、出場機会はなかった。

 今月は4月2日BCプレースでのLAギャラクシー戦は、本人も「びっくりしましたよ、ほんとに」と語ったまさかの出場停止処分。2試合連続でホームのファンの前でプレーする機会がなかった。

 それでも4月9日ユナイテッドDC戦では今季初のフル出場。4月16日リアル・ソルトレイク戦でも途中出場し、「チームメートとのコミュニケーション、コンビネーションも、試合を追うごとに良くなって、信頼してくれてますし、ボールも出してきてくれてるんで、これからもっともっと長い時間プレーしたいなって思います」と今後の出場機会に期待した。

 ただ、ここまでまだ1本もゴールを決めていない。ロビンソン監督は昨季から4ー2ー3ー1のフォーメーションを多用し、ワントップにはFWリベロ(#19)を使い続けている。後半に調子を落とし、今季もまだゴールを1本も決めていないが、リベロへの監督の信頼は厚い。工藤がここを突き崩してレギュラーを取るには結果を出すしかない。リベロがケガで欠場したフル出場試合は工藤にとって絶好のチャンスだったが、0ー4で大敗した。「そういう中でも結果を残して自分自身アピールしたかったんですけど」と工藤。チームにも、町にもすっかり溶け込み、ファンの人気も高く、期待も大きい。日本でのMLSテレビ放送も決定し、これからの活躍に期待がかかる。

(取材 三島直美 / 写真 斉藤光一)

 

 

試合後のインタビューで。5月から始まる日本での放送を「非常に楽しみ」と笑顔を見せた工藤選手

 

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