桜のつぼみがふくらみ、今にも咲きそうな3月5日、リッチモンド市のスティーブストンで国際空手道選手権大会が開催された。

参加選手はカナダ国内をはじめアメリカ、イギリス、日本から集合し、410人。強豪ひしめく大会として知られている。

在バンクーバー日本国総領事館総領事杯の獲得を目指して日頃の鍛錬の成果を競い合った。

本大会を主催する、剛柔(ごうじゅう)流打揚会の代表者・打揚猛(うちあげ たけし)師範が来加したのが1973年。その翌年からはじめて今年で43回目。

 

荒川監督を中心に武道大学の空手部選手たち

 

 剛柔流は、沖縄空手を祖とする古武道で、1930年に宮城長順師範によって初めて空手道としての流派を名乗った。打揚師範は、この剛柔流を父、憲造さんのもとで修行。大学を卒業後、和歌山市とリッチモンド市の姉妹都市活動の一環として1973年に来加。ホームステイ先の柔道家、ジム小嶋さん宅の裏庭で指導を始めた。2週間後には、スティーブストン武道場を使用できるようになるという幸運にも恵まれた。

 そして、来加の翌年1974年から本大会を開催して、今年で43回目となる。この間、多くの指導者も巣立ち、現在、剛柔流打揚会は、カナダ国内に5カ所、海外23カ国に支部を設けるほどに発展した。

 空手道の魅力は、国や文化の違いをも乗り越えるもので、現地に溶け込んでいる。ついには、2020年の東京オリンピックでの競技種目にノミネートされた。このことを、在バンクーバー日本国総領事館の岡田誠司総領事も祝辞のなかで披露した。また、リッチモンド市選出の国会議員のジョン・ヤップさん、リッチモンド市長のマルコム・ブロディさんも会場に駆けつけ、祝辞を述べ、熱心に試合を観戦していた。

 本大会の人気には、ちょっとした気遣いもそこここにあった。たとえば最年少参加者にメダルやカップを用意するなど、細やかな配慮がなされていて、将来へわたっての人気拡大の努力がかいま見える。

 

国際武道大学からも選手が参加

 千葉県勝浦市にある国際武道大学の空手部の荒川尊祐(たかまさ)監督と選手7人が参加。インターナショナルチームと組手の対戦を行った。結果は、大将戦までもつれ僅差で日本チームの勝利。選手たちは、貴重な体験だったと口々に語っていた。ちなみに本大会への参加は、同大学授業の一環として単位認定がされるという。荒川監督は、「この体験が、打揚先生のように海外で指導者になるような意欲につながってほしいですね」と語っていた。

 

次世代を担う、長男、長女、次女

 長男の打揚寿英(としひで)さんは、19回ものカナダチャンピオン、ジュニア・パンアメリカン大会優勝、世界空手連盟・世界選手権メダリスト、コモンウェルスゲームでも優勝、スティーブストン国際空手道選手権で16年間連続優勝。また、在バンクーバー日本国総領事館総領事杯も獲得など、輝かしい戦績を持つ。また、長女の秀美さんは、カナダチャンピオン9回、ジュニア・パンアメリカンメダリスト、スティーブストン国際空手道選手権で10回優勝。次女の寿美さんもカナダチャンピオン9回、ジュニア・パンアメリカンメダリスト、スティーブストン国際空手道選手権で8回優勝。3人の子どもたちが、打揚会の次世代を担うにふさわしい戦績を残し、期待が寄せられている。 

(取材 笹川 守) 

 

行儀のよい空手キッズ

 

総領事杯を受ける打揚寿英さん

 

最年少参加のゾエ・ハリソンちゃん5歳。カリフォルニア州・ストックトン市から2年連続参加

 

打揚秀美さんの形の演武

 

打揚寿英さんの形の演武

 

打揚寿美さんの形の演武

 

(左から)来賓のジョン・ヤップ国会議員、マルコム・ブロディ市長、岡田総領事夫妻、打揚師範、国際武道大学空手部・荒川監督

 

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