「イジメ、しない、させない!」いま世界的な広がりを見せる『ピンクシャツデー』のアピール行動が2月24日、バンクーバーのダウンタウンで開催された。このイジメ問題に強い関心を持つ「CANADA日本武道振興会」も立ち上がった。昨年につづき率先参加し、アピールした。
早朝7時前に集合したCANADA日本武道振興会のメンバー
12年生の男子生徒二人が立ち上げたピンクシャツデー
2007年の2月24日のこと、友達の男子生徒がピンクのシャツを着て登校したところ、『ゲイ』と冷やかされイジメられた。それを見かねた友達二人がその日の夕刻、ピンクのシャツ数枚を友達たちに配り、明日学校へ着てくるように頼んだ。大勢の生徒がピンクのシャツを着て登校した。その光景を見てイジメた当人たちは黙るしかなかった。
―これが、『ピンクシャツデー』の始まりで、今や世界70カ国以上で行われている。それだけ、イジメ問題が広範囲に広がり、深刻で、件数も多いことを物語っている。イジメ問題は事件化してはじめて公になるが、それまでに至らないまでも苦しむ人は数知れない。また、ネットによるイジメは、陰湿化する一方。「なんとかしなければ、少しでも減らす手伝いはできないものか」と、立ち上がったのが「CANADA日本武道振興会」の面々であった。
日本武道の精神は イジメをしない、させない、強い心を鍛える
武道それぞれのルーツを探ると、敵から身を守るディフェンスの技の追求と同時に、忍耐、他への慈愛、礼儀といった精神性を尊ぶ、「道」の追求であった。これは、まさにイジメ問題への対応として、最も近い具体策ではないか、何か自分たちにもできることがあるのではないか、と5人の武道家たちが立ち上がった。日頃、道場で子どもたちの成長を見てきた経験も裏打ちされている。
「やんちゃ坊主と言われた子どもが、自らリーダー役をやるようになって、他の手助けをするようになった」、「自信がみなぎり、頼もしさが感じられるようになった」、「後片付けなども率先してする」、「正座やあいさつ、マナーもよくなった」など、父母たちの声を聞き、目の当たりにしてきた道場主たち。こうした子どもたちに、イジメの魔手は忍び込みにくいのではないだろうか。日本人固有の精神論のようだが、個々の道場に通うのは日系人以外が大半を占めていて、その精神性が理解されているようだ。
2014年に発足した CANADA日本武道振興会
糸東流空手道正晃会、少林寺拳法バンクーバー支部、石川ファミリー柔道クラブ、カナダ練武道場(剣道)、合気道バンクーバー祥門会の5武道の代表が集まり結成した。日本武道は、まさしく日本文化の真髄であり、その振興は、日本文化の理解をカナダに深めることになる。異なる武道が集い、知恵を出し合い、さらなる高みを目指し、地域社会への貢献も目指す。その一つの行動が、ピンクシャツデーへの率先参加であった。2月24日のアピールデーへの参加ばかりではなく、各道場でピンクシャツの意義を研修したり、ドネーション活動や、武道の良さを多くの人に知ってもらうための、さまざまな活動を行っている。
(取材 笹川 守)
金活動中の少年剣士たち
2007年、イジメに遭っていた友達を救うためピンクシャツを配った一人、トリビス・プリュウさん。ピンクシャツデー生みの親だ
ピンクシャツ・パーティーだ!
あちこちでマスコミのインタビューが
みんなで集めたドネーションを事務局に渡す荒真紀子さん(練武道場代表)
最後はみんな仲良く記念撮影
合気道道場でピンクシャツデー
CKNW(AM980)ラジオ局ブースから実況中継
消防士は長靴を募金箱に大活躍
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