バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)が3月12日に『岡部守弘記念コンサート』を開催する。指揮者のケン・シェ氏が恩師に捧げるこのコンサートでは、毎回日本から若手演奏家を招聘しており、今回は若手ヴァイオリニストの川久保賜紀さんが来加する。
VMO音楽監督・首席指揮者ケン・シェ氏
ソリストに川久保賜紀さん
ロサンジェルス生まれの川久保さんは5歳でヴァイオリンを始め、ハイスクールの10年生を終了後ドイツに渡った。以来ドイツで13年生活する川久保さんだが、日本の主要オーケストラと共演し、国内外での知名度も高い。NHKの特別番組でイタリアのクレモナを訪ねたこともあり「ストラディヴァリウス、グァルネリ、グァダニーニといった楽器が並んでいる町と思っていましたが、日本人ヴァイオリン製作者の工房を見学したり新しいものもたくさん見てきました」と話す。
「ケン・シェ氏とは以前共演したときにリハーサル初日から意気投合しました。エネルギーとカリスマ性で音楽の素晴らしさを実感させてくれました」と川久保さんが語れば「川久保さんは演奏も性格も素晴らしい人ですので、VMOの楽団員も彼女からたくさん学ぶと思います」と、ケン・シェ氏。これまであまり弾く機会のなかったベートーベンの『ヴァイオリン協奏曲』を、VMOと一緒に深く掘り下げてみたいとのこと。
近藤薫さんがゲスト・コンサートマスター
一昨年VMOのソリストとして透明感のある美しい音色でチャイコフスキーの『ヴァイオリン協奏曲』を演奏したヴァイオリニストの近藤薫さんが、今回はコンサートマスターとして参加する。
「VMOの楽団員はとても好意的で、良い演奏をするためにたくさんの努力をしてくれました。ボランティアの方々の献身的なサポートにもとても感動しました。今回の共演には大きな希望を持っています。それは日本とカナダの文化交流であり、美しいハーモニーを作り出すことが、そのまま私たちの美しい未来に繋がると思っているからです。オーケストラのリーダーとしての参加ですが、お互いによく聴きあい、共に音楽を享受したいと思います。川久保さんとは何度も共演したことがあります。きらびやかな音色と芯の強い音楽性は彼女ならではでしょう。今回もとても楽しみにしています」と話している。
(取材 ルイーズ阿久沢)
川久保賜紀(かわくぼ・たまき)
2001年サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクール優勝。2002年チャイコフスキー国際コンクール最高位入賞(1位なしの2位)。5歳の時にヴァイオリンを始める。R.リプセット、D.ディレイ、川崎雅夫、Z.ブロンの各氏に師事。幼少時より主要な北米オーケストラと共演。97年にアジア・フィルのソリストとして初来日。近年はワシントンや淡路島で自ら企画するコンサートを行うなど、コンサート・プロデューサーとしての才能も発揮している。04年デビュー・アルバムをリリース。09年リリース『ヴィヴァルディ:四季』はSUZUKI「ジムニー」のテレビCMに使われて話題となる。遠藤真理、三浦友理枝とのトリオ『RAVEL』をリリース。使用楽器は1779年製ジョヴァンニ・バティスタ・グァダニーニ(S&R財団貸与)。
VMO バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ
岡部守弘記念コンサート
3月12日(土)7:30開演 (7:00PM開場 コンサートトーク)
マイケルJ.フォックス・シアター
指揮:ケン・シェ
ソリスト:川久保賜紀(ヴァイオリン)
ゲスト・コンサートマスター:近藤薫
ベートーベン『ヴァイオリン協奏曲』、 ブラームス『交響曲第4番』ほか
チケット:$30(学生・シニア$25。要ID提示)
電話(604)876-9397
オンライン購入:www.vmocanada.com
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川久保賜紀さん(写真提供 川久保賜紀オフィシャルギャラリー)
日本からゲスト・コンサートマスターとして参加する近藤薫さん。現在は主に東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターとして活動しつつ、東京芸術大学の非常勤講師としても同大学で指導にあたっている(撮影 深堀 瑞穂)
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