2016年スポーツ、要チェックはラグビー と ソフトボール

2015年はバンクーバーで大きなスポーツの国際大会が相次いだ。3月のデビス杯、6月の女子サッカーワールド杯、8月のラグビーパシフィック・ネイションズ・カップ、女子ゴルフカナディアンオープン。 そして、オリンピックイヤーの今年も、7人制ラグビーに、女子ソフトボールなど、スポーツの祭典は続く。 昨年のバンクーバーのスポーツシーンを振り返り、今年のイベントを紹介しよう。

 

試合開始前の集合写真。初戦スイス戦。2015年6月8日。日本1ー0スイス。(Photo by Sam Maruyama)

 

決勝で涙をのんだ女子サッカーW杯

 なんといっても昨年最大のスポーツイベントは、FIFA女子ワールドカップ。6月6日に開幕、7月5日の決勝戦まで、カナダ全国で女の白熱した戦いが繰り広げられた。バンクーバーでは決勝戦を含む9試合がBCプレースで開催された。日本代表は4試合をバンクーバーで戦った。

 前回W杯で優勝し、ディフェンディングチャンピオンとして今大会に臨んだなでしこジャパンは優勝候補筆頭であり、出場全チームから、目標として、尊敬するチームとして、そしてライバルとして、挑まれた。

 1次リーグから4試合連続初出場国と当たった。しかし、それで楽勝できるほど今大会は簡単ではなかった。4試合とも1点差での勝利。それでも順調に勝ち上がり、2011年W杯、2012年ロンドン五輪に続いて、3大会連続で決勝は日本対アメリカとなった。

 決勝は接戦が予想された。前回大会決勝はPK戦で日本に負けたアメリカ。今大会は打倒日本を目標に気合を入れていた。アメリカやや有利との予想だった。しかし、試合開始から16分で4失点と誰もが予想していなかった大差。結局2ー5でアメリカに敗れ、2大会連続優勝はかなわなかった。

 試合後、呆然とアメリカの優勝シーンを泣きはらした目で見つめるなでしこの姿が印象的だった。それでも主将宮間選手は「タフで厳しい展開だったけどよく戻した。最後まで頑張ったと思う」とチームのガンバリを称えた。

 今でもBCプレースの1階のW杯時メディアルームだった前を通り過ぎる時は、あの決勝戦の光景を思い出し、胸の奥がチクリと痛む。バンクーバーのなでしこファンにとっては、日本代表の健闘を誇りに思うと同時にほろ苦い思い出となったW杯だった。

 

錦織選手がバンクーバーに

 テニス男子団体戦世界大会のデビス杯1回戦カナダ対日本が、バンクーバー市内のサンダーバードスポーツセンターで行われた。3月3日から3日間、シングルス4試合、ダブルス1試合3勝したチームが次の対戦に進む。

 日本代表には錦織圭選手が参加。カナダのテニスファンに世界ランキングトップ5の実力を存分に見せつけた。

 カナダはミロシュ・ラオニッチ選手を筆頭に、シングルス、ダブルスに活躍するバセク・ポスピシル選手、ダブルスでは世界ランキングトップにもなったダニエル・ネスター選手と世界ランキングでは日本を大きく上回る実力者を集めたチーム編成だった。

 錦織選手は1日目にポスピシル選手をストレートで破り1勝、3日目にはエース対決となったラオニッチ選手にも勝利し、2勝した。しかし、結局日本は2勝3敗で敗れ、カナダが次のラウンドへと進んだ。   

 

ラグビー日本代表 W杯前にバンクーバーへ

 昨年9月にイギリスで開催されたラグビーW杯で、南アフリカを破り、一躍大人気となったラグビー日本代表。その調整を兼ねた6チームが参加するパシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)2015が7月、8月に行われ、その最終日の順位決定戦が8月3日、バンクーバーで行われた。日本代表はそれまでの成績で3位決定戦に臨むことになった。

 相手はトンガ。勝てない相手ではなかった。大会前の世界ランキングでは、トンガ12位、日本13位。ベストメンバーが揃っていないトンガ相手に、トンガより上のサモアとのW杯の対戦を考えれば、負けるわけにはいかなかった。しかし結果は敗戦。W杯に不安を残す結果だった。

 リーチマイケル主将は、勝てる試合で勝てなかったという反省はあるが、学べるところも多かったと語り、「ワールドカップの前にこの大会に参加できてよかった」と締めくくった。それがW杯の大金星につながったに違いない。

 

女子ゴルフカナディアンオープン 3年ぶりにバンクーバーに

 米女子プロゴルフ(LPGA)カナディアンオープンがコキットラムのバンクーバー・ゴルフクラブで8月20日から4日間行われた。日本選手では、3年前に続いて2回目の宮里藍選手、宮里美香選手、初出場の有村智恵選手、上原彩子選手、野村敏京選手、そして横峯さくら選手の6選手が参加。日本人ファンも多く詰めかけた。

 残念ながら今回、日本人選手は成績がふるわず、最高は横峯選手の1アンダー、38位で、期待の宮里美香選手はイーブンパーに終わり、「チャンスは結構あったんですけど、なかなか決めきれずにイーブンで終わってしまったっていう感じです」と今季調子がいいだけに悔しがった。

 この大会2位も経験している宮里藍選手はバンクーバーでは2012年に続いて予選落ち。「自分の感覚と結果が一致していない感じなので、自分のプレーとしてはスコアにはなってないんですけど、感覚としては悪くないです」と結果を悲観的にはとらえていなかった。「うまくいかないときこそ、何かを変えようとするとそれだけ難しい方向に行ってしまったりすることがあるので」と語り、努力はしているし、そういう時期もあるということで「流れに身を任せてって思っているので」と前を向いた。「おいしいご飯を食べて帰りたいと思います」と笑顔を見せた。

 

2016年の国際大会、キーワードはオリンピック

 2016年はオリンピックイヤー。8月にブラジル夏季五輪が開催される。そのブラジル五輪から正式種目として採用されたのが、7人制ラグビー。そのワールドシリーズ2015/16が3月12日、13日にバンクーバーのBCプレースで開催される。

 15人制とは違い、持久力が勝敗を決める。今季のワールドシリーズはすでにシーズンが始まっており、カナダは現在13位、日本は15位。まずは、バンクーバーでの前哨戦をチェックしてみよう。

 さらに、2020年東京五輪が決まり、野球男子とソフトボール女子が正式種目として加わる可能性があるなか、2016年7月サレー市ソフトボールシティで開催されるソフトボール女子の世界選手権に大注目。上野由岐子投手も東京五輪まで頑張るという。2008年北京五輪以来ソフトボールは五輪から離れていたが、今年は女子ソフトボールにも注目だ。

(取材 三島直美)

 

ドロップショットの構えを見せる錦織。2015年3月8日第1試合ラオニッチ戦。(Photo by Sam Maruyama)

 

小さくガッツポーズ。「第2セットから調子が良くなってきた」と振り返った。2015年3月8日第1試合ラオニッチ戦。(Photo by Sam Maruyama)

 

記者会見で満面の笑み。ラオニッチとの試合はいつも長く厳しいと笑った。2015年3月8日第1試合後の記者会見上で。(Photo by Sam Maruyama)

 

DF鮫島のゴールが決まり先制点を喜ぶなでしこ。2015年6月23日、日本2−1オランダ。(Photo by Sam Maruyama)

 

FWワンバックにアタックするMF澤。こんなシーンもこれが最後。このプレーで澤はイエローカードに。2015年7月5日決勝。日本2ー5アメリカ。(Photo by Sam Maruyama)

 

FW大儀見の肩に顔を埋めて泣くGK海堀。2015年7月5日決勝。(Photo by Sam Maruyama)

 

フルバック五郎丸。この日は5つのPKを決めた。2015年8月3日、日本対トンガ。(Photo by Miyuki Nakamura)

 

この日唯一のトライを決めたツイ。2015年8月3日、日本対トンガ。(Photo by Miyuki Nakamura)

 

2日目を終わって記者に囲まれ、予選通過はならなかったが時折笑顔を見せながら応じていた宮里藍選手。2015年8月21日。(Photo by Koichi Saito)

 

2日目は2バーディー3ボギーとスコアを一つ落とした宮里美香選手。2015年8月21日。(Photo by Koichi Saito)

 

2日目を終え1オーバーと微妙ながら予選を通過した横峯選手。2015年8月21日。(Photo by Koichi Saito)

 

決勝戦でも完投勝利の上野投手。「調子がよかったので思ったより楽に投げられました」と、回を追うごとに切れを増す投球にも余裕をみせた。2013年7月22日。オーストラリア戦。この年はMVPにも輝いた。(Photo by Sam Maruyama)

 

アメリカとの決勝戦。2014年7月21日。(Photo by Sam Maruyama)

 

優勝が決まった後、選手をねぎらい笑顔を見せる宇津木監督。2014年7月21日。(Photo by Sam Maruyama)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。