11月8日、雪化粧し始めた秋晴れのウィスラーで、ベアフットビストロ(リステルカナダ社)主催の第5回牡蠣の早あけ世界大会が開催された。 恒例の夏のイベントから今年は秋の風物詩コナコーピア*(ワインと食の祭典)の期間中に延期されたが、ウィスラーカンファレンスセンター内の特設会場には、600人を超す人々が集い、目の前で次々にあけられる生牡蠣や、BC州産のワイン、ベアフットビストロの創作料理に舌鼓を打った。この日の牡蠣は全てバンクーバー島の北にあるリードアイランドのソーミルベイ社から当日朝に届けられた。

 

(左より)日本代表の岩井利之さん、三位入賞のイヴォンジーン・ニコッドさん(バンクーバー)優勝したタッド・スティーブンスさん(米国)、準優勝したトム・ストックスさん(米国)

 

 デンマーク、エストニア、アメリカそしてカナダ。総勢17名のシャッカー(牡蠣あけ師)が技と速さを競った。日本代表として、日本オイスター協会公認「オイスターマイスター」で、カルガリー葉っぱ居酒屋オーナーシェフの岩井利之さんが浴衣姿で初参戦。繊細で華麗な技で会場を沸かせた。

 日本で世界一うまい牡蠣「セカウマ」を創り、牡蠣で世界をひとつにするプロジェクトにも関わっている岩井さんは明治大学卒業後、2003年に渡加し、葉っぱ居酒屋ロブソン店に就職。「クマモト」、「 ミヤギ」など、今や世界で知れ渡った日本の種から作られた牡蠣をさらに広めたいと使命感と情熱を持って、同店内にオイスターバーを開設し、オイスターマイスターと特級牡蠣あけ師の資格を取得。海外で活躍する唯一のオイスターマイスターである。普段お店ではお客様に提供するため、スピードよりもいかにきれいにあけるかを重視しているが、今大会に臨むにあたり、600個以上の牡蠣をあけ、追いこみの2週間前からは早あけのリズムをつかむ練習に、集中して取り組んだそうだ。

 大会は3種類計30個の牡蠣を「速さ」「牡蠣の身に傷がないか」「殻が混じっていないか」「海水が残っているか」「貝柱を殻から外しているか」といった項目が全て審査される。審査員はチョッピーノレストランのピノ・ポステラロ氏、Tojo'sレストランの東條英員氏、ベアフットビストロからメリッサ・クレイグさんが務め、速さだけではない全ての審査項目を厳正に審査した。

 4人1組で4組の予選を行った後、上位4人が決勝に進むトーナメント。惜しくも僅差で決勝進出を逃した岩井さんは、「初めての大会で緊張したが、たくさんの日本人の方にも応援に来ていただき無事に終えられた。来年もまたこの場に戻って来られるように練習を始めたい」と語り、早くも来年に照準を合わせていた。

 岩井さんの他にも、アメリカから4名、デンマークから2名、エストニアからは2年連続世界チャンピオンのアンティ・レピクさんが参戦。バンクーバーからは第4回大会覇者のアイザック・デルカンポさん(ロドニーズオイスターハウス)をはじめ、オタワ、トロント、地元ウィスラーから強豪シャッカーたちが腕を競い合った。

 1位の優勝賞金5,000ドルを獲得したのはシアトルのテイラーシェルフィッシュ社のタッド・スティーブンスさん。同時開催のバーテンダーたちが腕を競うブラッディーシーザーバトルの優勝者はマット・ベネヴォリさん(ブラックバードパブリックハウス)。

 この大会の収益金は、すべて「ウィスラーブラッコム財団」へ寄付され、地元の教育・文化・芸術活動などに有用される。

 初のコナコーピア期間での開催となり大盛況だった第5回牡蠣の早あけ世界大会。主催者であるリステルカナダ社副社長の上遠野和彦氏は、「今年の夏は異常気象による赤潮の影響でレストランでBC州産の生牡蠣を食べることができませんでした。大会の開催も危ぶまれ、東部から牡蠣を空輸するという代案も出されましたが、あくまでもBC州産の生牡蠣にこだわり、安全に味わっていただきたく、この時期に延期しました。アウトドアスポーツのメッカとして知られていますが、ウィスラーにはファーストネーションのカルチュラルセンターや今冬オープン予定のオーデンアートミュージアムなど、文化的な魅力も兼ね備えています。来年も秋の開催を検討中で、オフシーズンに新しいウィスラーの魅力を発信できることを願っています」と語った。

*コナコーピア: ブルーショアファイナンシャル主催のワインと食の祭典。今年は11月5日から15日に開催。ウィスラー内のレストランでのワイン試飲や試食が楽しめ、またワークショップやパーティーといったイベントも多く開催され食通が集まる祭典。

(記事提供 中條 和可奈さん/写真 斉藤 光一) 

 

観客が固唾をのみながら見守る中、生牡蠣をあけている浴衣姿の岩井利之さん(手前)

ジャッジ席で厳しく審査しているTojo'sレストランの東條英員氏、チョッピーノレストランのピノ・ポステラロ氏、ベアフットビストロのメリッサ・クレイグさん(左より)

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