米田大祐(よねだだいすけ)さん

昨年結成された日系少年野球チーム「バンクーバー新朝日軍」でボランティアのコーチとして奮闘している日本人留学生、米田大祐さんに話を聞いた。奈良県出身の米田さんは、昨年9月からブリティッシュコロンビア大学に留学している。今年の5月に新朝日軍でコーチをはじめた。

 

朝日のユニフォームを着た米田大祐さん

 

きっかけ

 きっかけは、2014年公開の映画『バンクーバーの朝日』を見たことであった。現在もチームが存在することを知った米田さんは、すぐにチームに連絡を取り晴れてコーチとなる。その若さと日本の高校野球を経験している点が買われたという。幼少期から野球を始め、中高野球部でピッチャーとして活躍していた米田さんは、日本の大学在学時には母校の野球部でコーチとして後輩を指導した経験を持つ。母校での指導経験が現在のコーチとしての活動にも活きているという。

 

英語での指導の難しさ

 英語で指導するという点で、日本でのコーチ経験とは違った難しさがあるという。「投げ方などを教えるときに、細かいニュアンスを伝えるのが難しいと感じることがある」と話す米田さん。言語の面では英語の堪能な他のコーチたちに助けてもらい、試行錯誤しながらより良い指導スタイルを追求しているという。「英語で自分の大好きな野球を教えるという、ここでしかできない体験ができている。この環境に感謝したい」と語った。

 

コーチと子供からの声

 「バンクーバー新朝日軍」の役員兼ピーウィーチームのヘッドコーチである福村十三郎さんは米田さんを「誠実なキャラクターで、技術もあり、子供たちからの信頼が厚い」と称した。またバンタムチームのヘッドコーチである猪亦功憲さんは米田さんについて「日本的な野球を教えてくれる。技術の高さ、そして礼儀正しさは、日本の野球をしてきたからこそ身についている」と語った。子供たちからは「やさしくて、わかりやすく教えてくれる」という声が挙がっていた。米田さんが試合に来ることができないときは子供たちが残念がるという。

 

子供から学ぶ

 「子供から学ぶことも多い」と語った米田さん。「伝え方を工夫しようとすることで自らの野球への理解も深まる。朝日でのコーチ経験を通じて英語力も伸び、野球のコーチとしても成長できた」

 

やりがい

 「自分が野球をするのと人に教えるのは全く違う。そこがコーチをしていく上で難しいところであるが、子供にしっかりと伝わった時は嬉しいし、そこにやりがいを感じる」という。続けて「野球を教えるという形でカナダの日本人コミュニティに貢献できて嬉しい」と語る米田さん。今後も、来年4月の帰国までコーチとしてさらなる活躍を願う。

(取材 牧原優衣)

 

室内での練習の様子

(右から)John Wongさん、米田大祐さん、猪亦功憲さん、福村十三郎さん

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。