〜デヴィッド・スズキ氏のTV番組、11月12日に放映〜
バンクーバーでも撮影が行われたドキュメンタリー
自然保護活動家のデヴィッド・スズキ氏がホストをつとめるCBCテレビのドキュメンタリー番組、ザ・ネイチャー・オブ・シングス(The Nature of Things)。地球外生命体の探索から乳児心理学、動物の生態や人類の進化など、様々な分野について専門家がわかりやすく、その知られざる真髄に迫る人気番組で、すでに55シーズン目に入った長寿番組だ。
Photo by CBC
歴史的な音から その最新事情まで
11月12日午後8時(太平洋標準時)放映予定のエピソード『音のマジック―音に秘められた可能性と、その科学(Sonic Magic: The Wonder and Science of Sound)』では、音についての最新研究などが紹介される。
医療現場でも利用される、音
カナダのほかイタリア、イギリス、オーストラリア、米国で撮影が行われた本編では、科学者や工学者、大学教授、そして歴史学者らが、音の知られざる世界を明らかにしていく。
最先端医療の現場では、音による治療の研究が進められている。手術なしで悪性腫瘍を消滅させる方法や、神経障害を阻止する方法が試されているほか、将来的にはアルツハイマー病の障害を克服することも、音によって可能になるかもしれない。
「音に対して、あらためて注意を向ける人は多くない」と語るのは、このドキュメンタリーの製作を手がけたバンクーバーのライトシップ・エンターテイメント社のエグゼクティブ・ディレクター、テレンス・マキオンさん。私たちが聞いているもの、また聞いていないものが様々な形で私たちに影響を与えており、まだ解明されきっていないその複雑なメカニズムの一端に、今回はスポットライトを当てるとマキオンさんは説明している。
音で、外界を見る
また番組の中では、自分で編み出した『フラッシュ・ソナー』と呼ぶ方法で、外界を認識できるようになった子供の事例も紹介される。自ら発した超音波の反響をキャッチする、コウモリの手法と同じだ。彼は自転車で障害物をよけることもできれば、まわりの情景をきわめて正確に描くこともできる。今では直感から学んできた方法を人に教え、視力を失った人に世界を見せる画期的な方法の先駆者となっている。
ランドスケープ(音の情景)という概念
バンクーバーでは、市中心部にある聖ロザリー大聖堂の鐘の音が、どのように喧騒に埋もれていくかを分析、失われていく歴史的、また地域を特徴づける音の情景を守ることについて考える。
(取材 平野 直樹)