今季レギュラーシーズン最終戦。満員のファンが声援を送る中、バンクーバー・ホワイトキャップスFCはヒューストン・ダイナモに3-0で快勝した。 この時点で3位が確定。会場で喜びに興奮するファンに、LAギャラクシー敗戦のアナウンスが流れ、プレーオフ2位が確定、準決勝進出が決まった。
この日、先制点を入れたMFマニー(Photo by Sam Maruyama)
10月25日(21,000)バンクーバー ホワイトキャップスFC 3 -0 ヒューストン・ダイナモ
前半は両チーム無得点。後半に入った59分。MFマニー(#23)の中央からのミドルシュートが決まり、キャップスが先制。72分にはコーナーキックからDFワストン(#4)がヘッドで合わせて2点目。終了間際には交代したばかりのMFアーショウ(#88)がダメ押しの3点目を決めた。
◆最終戦を白星で飾る◆
前半は、チャンスを作るもののなかなか得点に結びつかない。相手の好守にはばまれるか、ゴールバーに当たって跳ね返る場面もあった。前半が終わって無得点。すでに1、2点が入っていても不思議ではない試合展開に嫌な雰囲気が漂っていた。
後半に入り、ホワイトキャップスにやや焦りが見え始めた。最近5試合連続白星なしというチーム状況に加え、この日負ければ、プレーオフ6位通過という最悪のシナリオも待ち受けていた。どうしても勝たなければならないというプレッシャーは誰もが感じていたに違いない。
そんな緊張感を吹き飛ばしたのが、マニーの先制点だった。右サイドから、DFラバ(#15)、MFコフィ(#28)と中央のマニーへパスを回した。ゴールが決まった瞬間、ファンも、ベンチも爆発。漂っていた重たい雰囲気を吹き飛ばし、会場が一体となって喜んだ。
「先制点を入れられたのは良かった。その後に2点さらに追加できたし」とマニー。個人的にも嬉しかったし、チームにとっても良かったと笑顔で語った。
ロビンソン監督は、マニーや2点目をアシストしたMFテチェラ(#13)など若い選手が活躍して今季ここまで来たことに、「若い選手を中心に勝てるチームを作れることが証明できた」と胸を張った。会見中、終始笑顔を隠し切れない様子で記者の質問に答えたロビンソン監督。監督就任2年目にしてプレーオフ準決勝進出を成し遂げた。
今季は16勝13敗5分、勝ち点53、西カンファレンス2位でレギュラーシーズンを終了した。
◆プレーオフ準決勝へ標準を合わせる◆
試合終了から約2分後、2位だったLAギャラクシーが敗け、キャップスの2位確定がアナウンスされると、会場に大きな歓声が沸き起こった。
今季からプレーオフ制度が変更となり、各カンファレンス上位6チームがプレーオフに進出できるが、2位以上なら自動的に準決勝へと駒を進める。
今季のキャップスは開幕戦こそMLSに昇格して初めて黒星発進となったものの、その後は順調に勝ち進み、夏まではカンファレンス首位を維持していた。しかし、8月以降なかなか勝ち星に恵まれなかった。FIFA女子W杯の開催やACC、CCLなどMLS以外の試合も多く組み込まれ、6月以降は厳しいスケジュールが続いたことも影響したのかもしれない。
9月中旬から5試合連続勝ち星なしという試合も続いた。それでも結果的に2位で終えたことに、正直驚いているかと記者から聞かれると「そんなことはない」と監督は答えた。「今季のチームは2位に十分値する」と選手たちの活躍を称賛した。
次はプレーオフ。「準備はできている」と監督。ケガ人は多いが、できるだけいいチーム状態で臨むことを約束した。
キャップスのプレーオフ準決勝は、11月1日がアウエーで、8日にBCプレースで行われる。キャップスがプレーオフをホームで戦うのはMLSに昇格して以来、これが初めて。
対戦相手は10月28、29日の「ノックアウト・ラウンド」で決定する。各カンファレンス3位対6位、4位対5位のチームが1試合だけ対戦。勝ったチームが準決勝に進出する。
(取材 三島直美)
試合終了後、ファンに笑顔で手を振るMFコフィ(中央)。この日は先制点のアシスト。キャップスで唯一MLS昇格時から在籍する選手だ(Photo by Sam Maruyama)