ANA待望のドリームライナー就航
爽やかなブルーをまとった美しい機体が7月1日、バンクーバー国際空港に舞い降りた。待望のANAドリームライナー就航。バンクーバー・羽田線が初就航して1年3カ月。ようやく本命が姿を現した。
バンクーバー国際空港に到着した全日空ボーイング787ドリームライナー(Courtesy of Mr. Motoi Matsukura, www.flickr.com/photos/realvision88)
ボーイング787 ドリームライナー
ボーイング787、愛称ドリームライナーは、機体の美しさが魅力の、バランスのとれた中型機。ボーイング社の次世代型革新的旅客機として、全日本空輸(ANA)が開発から携わっている。機体の軽量化、燃料効率の向上、排出ガスの削減に成功し、中型機ながら15000キロメートルの飛行が可能で、北米・欧州路線でも運航されている。
今回、全日空バンクーバー・羽田線に導入されたのは787―800。全長56・7メートル、幅60・1メートル、高さ16・9メートル。座席数は全240席、ビジネスクラス42、エコノミークラス198、プレミアムシートは設置されていない。座席配列は、ビジネスクラス2―2―2。完全フラットのスタッガードシート配列ではなく、アジア路線で主に使用されているゆりかごタイプ。エコノミーは3―3―3。内装では、高い天井、大きな窓、電子カーテン、LED光による電色調整など、これまでとは違ったフライト空間が用意されている。さらにエンターテイメントも充実。大きな画面で、提供されている全てのプログラムを楽しめる。
ようやく実現した ドリームライナー導入
昨年3月30日、全日空のバンクーバー・羽田線第1便が就航した時、バンクーバー支店長の松橋慶典氏は3つの課題をあげた。
一つはエコノミークラスの預け入れ手荷物の増加。2つ目は国内線への乗り継ぎ便の増加。3つ目は新しい機材の導入。
預け入れ手荷物については、昨年冬ダイヤのキャンペーンを経て、今年1月8日発券分から国際線エコノミークラスで2個が実現した。国内線への乗り継ぎは、就航当時の4都市から現在12都市までに増えている。今後は伊丹空港乗り継ぎを目指す。
そして今回ドリームライナーが就航した。これまでのボーイング767は、かなり古い機材だった。就航当初から新しい機材の導入は予定されていたものの、時期については不確定だった。「今回ようやく実現しました」と松橋支店長。787については、全日空が世界で初めて日本の国内線で2011年から導入した。以来、日本の空ではよく見かける。「以前は国内線の方が(機材が)新しかったとよくお叱りを受けた」と笑った。「これでバンクーバーのお客様にも787を楽しんでもらえる」と嬉しそうに語った。
787、羽田、 高品質のサービス
これから全日空がバンクーバーで他社との差別化を図るポイントとして、「787・羽田発着・高品質サービス」の3点をあげた。すでにANAをよく知る日本人へのアプローチはもとより、アジア系に積極的に売り込んでいきたいと語る。アジア系が多いバンクーバーの特色を生かし、東京短期滞在を織り込みながら、羽田からアジアへ向かう乗客を狙っていく。
そして最も強調するのが、スカイトラック社評価最高の5スターを3年連続で獲得した世界トップクラスのサービス。地上乗務員から客室乗務員まで一貫した上質のサービスには「誇りを持っている」と松橋支店長。高品質サービスをアピールしながら、今後は、カナダの大手旅行会社へのアプローチや、カナダ系メディア、アジア系ネットワークへの積極的な働かきかけをしていきたいと語った。
将来的には、最新ドリームライナー787―900の導入も視野に入れている。
ビジネスクラスの座席
エコノミークラス。大きな画面でエンターテイメントが楽しめる
787のコックピット。上部に787ドリームライナーのロゴ
バンクーバー発787第1便記念品を受け取る乗客
(取材 三島直美)