ファンドレージング・コンサート開催

ステンドグラスをバックに流れたハープの音色
 

ハーピストの大竹香織さんが5月30日、バンクーバー市内のカナディアン・メモリアル・ユナイテッド教会で『世界ハープ会議』(WHCワールド・ハープ・コングレス)のためのファンドレージング・コンサートを開催。さまざまな色の照明がステンドグラスを美しく照らす中、約120人が教会堂で美しいハープの旋律に聴き入った。

 

大竹美弥さんが指導するウエストコースト・ハープ・アンサンブル

 

広がるハープの魅力

 会堂に並べられた大小のハープ。コンサートは香織さんの姉の美弥さんが指導する『ウエストコースト・ハープ・アンサンブル』の演奏でスタートした。

 ピアノやバイオリンに比べあまり馴染みのなかったハープが、大竹姉妹によって当地に広がった証しのように、サウルハープを弾く小さな子どもからグランドハープを弾くおとなの生徒まで、ソロやアンサンブルの演奏が行われた。

 かつて東京のカナダ大使館で、大竹一家のビザ取得の手助けをした夫のコンラッドさんとともに会場に足を運んだアダムス弘美さんは、自らもハープを演奏する。「小さなときから夢を持ってハープのためにカナダに来た姉妹が、こうして立派な演奏家になったことは本当にうれしい限りです」と話してくれた。

 

大竹香織さん(左)と姉の大竹美弥さん

 

若い演奏家のために

 このコンサートは2017年に香港で行われる『世界ハープ会議』(WHCワールド・ハープ・コングレス)に世界から優秀な若いハーピストが『Focus on Youth』プログラムに参加できるよう支援するのが目的。

 4歳からハープを始めたシルク・美波・ビリングスさん(16)は、2011年のバンクーバー大会では日・英・仏語で通訳をしながらトップレベルの演奏を生で聴いた。「この経験がその後の演奏に大きく影響されたようです。先月のキワニス・コンクールでも、より音に奥行きが出てきたようだと高い評価を受けました。2017年の大会には絶対に行かせてあげたいです」と母親の美千代さん。シルクさんは、すでにアバディーン・センター内のショーケース・アカデミーで教えている。

 

大竹香織さんwww.otakekaori.com

 

ステンドグラスを背景に

 結婚を機に日本で暮らす香織さんは、第10回リオ・ハープフェスティバルで演奏して前日バンクーバーに戻ったばかり。ブラジルでは弦の交換中に指を怪我してしまったものの、3回の演奏を無事こなした。「演奏を聴いて何枚もCDを買ってくれた人がいて、とてもうれしかったです」

 『幻想曲作品95』(サン=サーンス)、『パガニーニの主題による狂詩曲より変奏曲18番』(ラフマニノフ)、『スパニッシュダンスNo.1』(ファリア)など、力強さと優しさを表現しながら全9曲を演奏。『さくら さくら』(日本民謡・フルトン編曲)ではハープ本体を太鼓のように叩いて、メリハリをつけた。

 特に東日本大震災後の応援歌として知られる『花は咲く』(菅野よう子)では、メロディーラインに細かな音を加えて独自の編曲で美しく仕上げ、その成熟した演奏に大きな拍手が沸いた。

 この日の収益金1750ドルは『大竹ファミリー基金』を通してWHCに寄付されるとのこと。

 

(取材 ルイーズ阿久沢)

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