ベストレストラン日本食部門でZest が金賞、酒楽が奨励賞受賞
Zest はワインプログラム優秀賞も

 

 

バンクーバーマガジンが今年4月に発表した2015年度ベストレストランで、ゼストが日本食の高級レストランの部門で金賞、酒楽もカジュアルレストランの部門で奨励賞を受賞した。またゼストは、今年2月に開催されたバンクーバー国際ワインフェスティバルで、料理とワインのペアリングを考えた優れたワインリストを評価する賞でも日本食レストランではバンクーバーで初めて金賞に輝いた。この両店のオーナー片岡以織さんに話を聞いた。

 

Zestではワイン、酒楽では日本酒との組み合わせを魅力の店とし、創意工夫して経営に当たる片岡以織さん

 

金賞の感想は?

 今年は昨年に続き2回目でした。この1年間、いかにこのゴールドの名にふさわしいお店にするべきかをスタッフ全員が一生懸命考えてくれていたので今回は嬉しさと共にホッとした気持ちでした。

 

それぞれどんな魅力を持つ店でありたいとの思いがありますか?

 Zestは、地元の食材を活かしながら和食とワインのマリアージュ(よい組み合わせ)を提案できるお店の一つとして、フレンドリーでありながらきめ細やかなサービスで、肩肘張らず来ていただける雰囲気に魅力を感じていただけると嬉しいです。

 酒楽は、日本文化を味わっていただきたいと、ほぼ全てのお酒をby the glassで提供しており、今まで日本酒を飲んだことがなかった方にも試していただき、お気に入りを見つけられるお店になれると嬉しいです。サービス、お料理共に一歩上を目指す大人の居酒屋として楽しんでいただけると幸いです。

 そのためにお客様の気持ちになって接すること。心の距離をいかに近づけられるかを考え工夫しています。それは日本風の自分を無にして仕えるというスタイルとはまた違います。

 

両店でのお酒との関わりを通じて感じていることは?

 ワインも日本酒も、飲んで楽しむだけでなく歴史や地理が関わっており、実際に生産している場所を訪れ作り手さんや蔵元さんに直接お会いして、なぜそのような味や香りを醸し出しているのか学んでいくと、もっと勉強しないといけないこと、いかにそれぞれのお酒やワインを大切に扱わなければいけないかを感じます。食べ物も同じことですね。

 

経営へのモチベーション継続に役立っていることは?

 周りに何かに没頭して頑張っている人がいるとモチベーションが上がります。自分を置く環境は大切ですね。

 

このお仕事を続けてきてよかったと思うのはどんなときですか?

 お客様が喜んでくれているとき。スタッフがやる気を持って仕事をしていることに気が付いたときです。

 

テレビ番組『プロフェッショナルー仕事の流儀』の中で、「あなたにとってプロフェッショナルとは」という質問がありますが、片岡さんの答えは?

 「今の状態に甘んじない姿勢で上を向いて限りなく地道な挑戦をし続けている人」です。

 

読者の皆さんに一言をお願いします。    

 今回の受賞も周りの皆さんとサポートをしてくれているお客様のおかげと感謝の気持ちでいっぱいです。これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします。

 お酒と食の探求に余念がない行動力の人、片岡さん。あふれるパッションで力強くバンクーバーの食文化をリード中だ。

 

片岡以織(かたおか・いおり)さんプロフィール  

 大阪府出身。体操が得意で卓球、水泳にも取り組んでいたスポーツ少女は、自分の子どもと一緒にお菓子作りを楽しむ専業主婦になるのが夢だった。日本で大手食品会社に就職。英語の勉強をしたいと退職して渡加後、前夫に出会い、1990年に一緒に開いた若者のための和食店がバンクーバーマガジンのレストランアワードの“Best Cheap Eat”に選ばれた。

 90年代に出産、離婚を経験し、99年に独立。ワインに合う日本食店開業の思いを持つ馬庭義明さんをビジネスパートナーに迎え、2005年にZestをオープン。2008年に日本文化をカナダ人にアピールできる店として日本酒専門の居酒屋“酒楽”を始め、自身も大好きな日本酒の唎酒師に。

 オフの時間は気の合う友人とおいしいものを味わったり、本を読んで違う世界に飛び込んだり。時間が取れるときは酒蔵巡りかワイナリーツアーへ。インテリアデザインやアートを見る趣味が高じて両店舗共デザインを自身で手がけた。

 

(取材 平野香利)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。