しだれ桜と晴れ上がった空
岡田誠司総領事・寧子夫妻と団らんのひととき
3月31日、在バンクーバー総領事公邸に日系ホーム・新さくら荘のシニア21人が招かれ、お花見昼食会が開かれた。これは岡田誠司総領事・寧子夫妻が公邸の庭の美しい桜を見てもらおうと主催したものだが、今年は開花が早かったため早咲きの桜は葉桜になっていた。それでもスタッフやボランティアに付き添われたシニアたちは前庭のしだれ桜と晴れあがった空を仰ぎ、お花見弁当に舌鼓を打ち、総領事夫妻の温かいもてなしを楽しんだ。
総領事公邸の庭先にて記念撮影。日系ホーム・新さくら荘居住者とスタッフ、ボランティアのみなさん
樹齢100年の桜
総領事公邸には樹齢100年を超える大きく立派なソメイヨシノ、しだれ桜、八重桜など、数種類の桜の木が植えられている。せっかくの美しい桜を日系シニアに見ていただきたい。そんな岡田誠司総領事・寧子夫妻の厚意によって昨年初めて日系シニアが公邸に招待された。2年めの今年は3月17日に隣組シニアが、続いて31日に日系ホーム・新さくら荘のシニアが招かれた。
「この建物は1913年に建てられ1926年に日本政府が購入しました。歴代総領事公邸として使われており、私で43代目になります。裏庭の桜の木は樹齢100年以上で、この庭で一番古く一番大きな木です」と岡田総領事が説明すると、シニアのひとりが「すごいねー」と声を漏らした。 例年に比べ開花が早かった今年、裏庭の桜の木は隣組シニアが招かれた3月17日ごろに満開のピークを迎えた。31日は晴れ上がった青空の下、マイクロバスから降りると前庭のしだれ桜と日の丸の国旗を見上げるシニアのみなさんの笑顔が印象的だった。
マイクロバスを降り、しだれ桜を見上げながら公邸に入っていく日系シニアのみなさん
昼食会で公邸の建物の歴史や桜の木について説明する岡田誠司総領事
心のこもった花見弁当
公邸でのお花見昼食会は一年のハイライトだったと話す昨年参加したシニアもいるそうで「今年参加のみなさんにとっても、思い出深い出来事となることでしょう」と日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会のルース・コールズ会長が代表でお礼を述べた。
日本酒で乾杯したあとは、お楽しみのお花見弁当。さわらの西京焼き、BC州産有機ごぼうのキンピラ、竹の子の天ぷら、鯛の炊き込みご飯など、量もシニアのみなさんに合わせて多からず少なからず。公邸料理人の岩坪貢範シェフによると「さわら、竹の子、鯛などの素材で季節感を出しました」とのこと。「作る人の心がこもったお料理でした。年を取るのも楽しいものですね」と鹿児島県出身、在加48年の郡山敏子さん(85)。
岡田寧子夫人と同席した久保千代さん(98)は、新さくら荘で自炊しながらゲートボールや体操を楽しむ毎日。「夫が亡くなってから4年悩んだあげくに息子の呼び寄せで移住しました。来て良かったです」とカナダでの生活を伝えたという。
青空の下、気持ちのいい風にあたりながら「もう少しで八重桜が咲きますよ」と語りかける岡田総領事の言葉に、桜の季節を楽しんでもらいたいという総領事夫妻の心遣いが感じられた午後だった。
しだれ桜の下で、公邸料理人の岩坪貢範シェフ
岡田総領事と歓談する日系シニアズ・ヘルスケア住宅協会のルース・コールズ会長(左隣)
(取材 ルイーズ阿久沢)