バンクーバー市庁舎で歓迎会

横浜市との姉妹都市提携50周年を迎え、日本との交流に力を入れているバンクーバー市。同市は4月2日、カナダ友好協会と3.11塾の合同企画で来加した日本の子どもたち21人と引率者4人を迎えて日加交流のイベントを催した。

 

21人の日本の子どもたちがバンクーバー市庁舎を訪問

 

3・11塾とカナダ友好協会のカナダ訪問

 3・11塾(一般社団法人3・11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構、会長−作曲家・三枝成彰)は、東日本大震災で親を失った子どもたちの夢を支援する団体。東北から6人の子どもたちを引率した同会理事・林裕子さんは会の発起と主旨について「3・11の直後にプロの音楽家出演によるチャリティコンサートを実施した時、親を失った、あるいはまだ捜索中という子どもたちを前にして、彼らに対してできることは何かと考え、発足した会です」と語る。

 カナダ友好協会(会長—ジョイ・コガワさん)は1948年、カナダの作家ジョイ・コガワさんの父、中山吾一さんの発起で生まれた会。その後、日本食を恋しく思う日系人への日本からの支援を行うようになった。同協会の代表事務局長を務める浅海道子さんは「日系カナダ人へのカナダ政府からの戦後の公式謝罪と補償後は、日本の青少年の健全な育成と日加の親善交流にフォーカスして活動しています」と語る。同会が毎年日本の子どもを引率し、カナダの地元の人たちとの交流を開始して今年で50回目となる。また日本でカナダを紹介するイベント(1997年「カナダの絵本と子ども文化展」)等も実施し、日本とカナダ相互の文化交流を図っている。

 今回はこの二つの会が合同でカナダ訪問を実施。3月26日から10日間の滞在中には、東日本大震災後に千羽鶴を被災地に贈ってくれたバンクーバーのセント・サクラメント小学校とリッチモンド・セカンダリー・スクール(所在リッチモンド市)に感謝を伝えるため訪問。日加両国の子どもたちは一緒に折り鶴を折るなどの交流を行った。

 

新たな桜の木の前で、左から「ジョイ・コガワ・ハウス」館長のマック・トッド・ワンさん、 ジョイ・コガワさん、カナダ友好協会の浅海道子さん、「ジョイ・コガワ・ハウス」事務局長のアン=マリー・メッテンさん

 

元気な日本の子どもたち。左から小林哉斗君、板倉颯士君、赤木空斗君、遠藤一之介君

 

市庁舎内外での歓迎イベント

 4月2日にはバンクーバー市が日本からの一行を歓迎し、最初に市庁舎の庭に、この度植えられた桜の前でジョイ・コガワさんのスピーチほかのセレモニーを行った。この桜は、日加友好の証として2008年にジョイ・コガワ邸から寄贈されたが残念ながら枯れてしまった桜の代わりとなるもの。

 皆で市庁舎内に移動後は、アンドレア・ライマー・バンクーバー副市長と在バンクーバー日本国総領事館岡田誠司総領事が歓迎の挨拶を行った。カナダ友好協会常任理事でバンクーバー在住のコピソン珠子さんから紹介を受けて、楽しく歌を披露したのはセント・ジェームズ・ミュージック・アカデミーの子どもたち。きれいな日本語での『さくらさくら』の歌唱に、一行から大きな拍手が贈られた。

 その後の交流の時間を楽しむ日本の子どもたちに、プログラム参加の目的やカナダの印象などを尋ねると「自分の英語の力を試してみたかった。英語の聞き取りは難しいけれど、ホストファミリーの人たちがやさしくフォローしてくれて助かります」と西方和(のどか)さん。「カナダは何でも大きい。たとえばバスとか人とか」と赤木空斗君。「(扉式の)自動ドアを初めて見た」(板倉颯士君)。「この旅行が楽しい。明日行く水族館が楽しみ」(小林哉斗君)。そんな彼らの生き生きとした表情がこのカナダ訪問の充実感を語っているようだ。

 

日本からの一行を歓迎し、挨拶するアンドレア・ライマー・バンクーバー副市長

 

セント・ジェームズ・ミュージック・アカデミーの子どもたちから歌のプレゼント

 

(取材 平野香利)

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