BC州和歌山県人会DAY

3月27日、リッチモンド市スティーブストンのガレーポイント・パークの工野庭園で、リッチモンド市より『BC州和歌山県人会DAY』と命名された表彰式典が開催された。
BC州和歌山県人会創立50周年、及び工野儀兵衛の渡加127年記念に当たり、リッチモンド市が2015年3月27日を『BC州和歌山県人会DAY』と命名。
この名誉と感動の良き日を祝おうと、大勢のBC州和歌山県人会の会員が集まった。前日までの雨天予報が、曇り空にとどまり、フレイザー河口に垂れ込めた雲を背景に満開の桜がくっきりと浮かび上がっていた。

 

 

127年前、和歌山からやってきた工野儀兵衛さん

 それは、1888年(明治21年)のことであった。翌年には、大日本帝国憲法が発布された年。県人初の移民としてスティーブストンにやって来た工野さんは、フレイザー河口に“湧く”ように大量のサケがいるのを見て、故郷、和歌山県日高郡三尾村の漁師仲間を呼び寄せた。これが、スティーブストンをはじめ、BC州の漁場に日本人移民がやってきた始まりだった。その後、サケの缶詰工場などの水産関連工場や、そこで働く人たちのための商店などができ、スティーブストンの街が形成された。ちなみに、在バンクーバー日本国総領事館が開館したのは、その2年後。日本人移民の増大を機に開設されたのであった。

 

式典に集まったBC州和歌山県人会の人々

 

3月27日を『BC州和歌山県人会DAY』と命名

 リッチモンド市が正式に3月27日を『BC州和歌山県人会DAY』と命名した。BC州和歌山県人会創立50周年の記念すべき日に、この名誉ある命名を受け永遠に歴史を刻んでいくこととなった。リッチモンド市長代理のキャロル・デイさんが、表彰状をBC州和歌山県人会・会長の水田治司さんに手渡した。また、在バンクーバー総領事館の内田晃副総領事も、県人会のメンバーへ祝賀の言葉とリッチモンド市への感謝の言葉を述べた。表彰状を受け取った水田会長は、感謝の言葉とともに「和歌山の『和』はハーモニーを意味し、県人会メンバーはもとより、市民の皆さんとともに協調してより良いコミュニティづくりに貢献していきたい」と力強く誓っていた。

 

リッチモンド市市長代理のキャロル・デイさんから命名の表彰額を授与され、感無量の水田治司会長

 

 この日はガレーポイント・パークに、2000年より県人会が植樹を続けた255本の桜の木がすべて満開に咲き誇り、多くの市民が花見に訪れていた。同公園内には、1989年に工野儀兵衛渡加100周年を記念して造園、市に寄贈された『工野庭園』がある。これは、先人たちの開拓精神と忍耐、リーダーシップによりコミュニティづくりに寄与してきたことを誇りとして後世に伝えようと、リッチモンド市のサポートや県人会、他多くの人々のドネーションによって完成した。この庭園の四季の姿と咲き誇る桜は、訪れる人々に憩いの場所として、ひいてはお互いの友情と理解、また日本文化の象徴として、末永く親しまれていくことだろう。また桜の植樹を、今後もガレーポイント・パークだけではなく、スティーブストンの街に拡大していく計画があり、すでに開始されている。

 

祝辞とお礼の言葉を述べる在バンクーバー総領事館の内田晃副領事

 

満開の桜の下で久しぶりの再会を喜び、おしゃべりの花も咲くBC州和歌山県人会の女性たち

(取材 笹川守)

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