壁と床の境目にあるのが『ラジエター・パネルボード』。その表面、そして壁、天井には『ナノ粒子塗装』が施されている

 

エアコンの常識を覆す新システム 

一般的な『エアコン』は、『熱源』や『冷源』を風で部屋に送り込む方法。そのため、部屋に温度ムラが生じやすい。暖房時に、天井部ばかりが暖かくなったり、冷房時には足元が冷えすぎるなど、不快な体験が多いのは温度ムラによるもの。  今、日本で「次世代エアコン」として注目を集めている『光冷暖FIRST System』は、これまでのエアコンの常識を覆すもので、遠赤外線の熱放射を活用した画期的なもの。  一年中、快適温度(体感温度は24℃前後)で部屋全体を包み込むイメージ。「その居心地の良さは、冬は『陽だまり』、夏は『木陰げ』にいるようです。ぜひ体感していただきたい」と語るのは、このシステムを北米に初めて紹介したCascadia社代表の吉武政治さん。省エネ効果も高く、各界から注目を集めている。  この『光冷暖FIRST System』は、5年前に世界特許を申請し、日本では3年前に、カナダでは昨年の11月に特許取得した。学会も発足し、省エネ効果の高さや温度ムラのなさを工学的に、あるいは快適性を脳科学面から解析したり、農業分野への応用などの研究成果が発表されている。また、日本の住宅メーカー、省エネ機器メーカーなどの産業界でも導入が決定し、今後、急拡大が予想されている。

 

キッチンも使いやすく、美しく生れ変わった

 

Yさん邸に導入した光冷暖システム(FIRST System) 

今回の導入は、冷房が必要ないということで暖房に特化したシステム。熱源には、『タンクレス・ウォーター・ヒーター』を採用。部屋に設置した『ラジエター・パネルボード』に低温のお湯を通し、その表面に特殊塗装された『FIRSTコーティング』と壁、天井に塗られた特殊な『FIRSTペイント』が共鳴し遠赤外線で効率よく部屋全体を包み込むように暖めるシステム。  『FIRSTペイント』、『FIRSTコーティング』は、ナノテクノロジーによる極小の粒子の特殊セラミックが混入したもので、遠赤外線を効率よく発生させ、『ラジエター・パネルボード』の表面温度に反応し、室内全体を最適室温で包み込む、という仕組み。  安定した心地よい室温にするだけではなく、電気・ガスなどの省エネ効果が極めて高いという。

 

『ラジエター・パネルボード』。インテリアとしてもすっきり収まり、色も自由に指定できる

 

熱効率アップを図る工夫 

今回のYさん邸の省エネ住宅へ向けたリノベーションでは、機密性の高い窓サッシにペアガラスを採用。壁には断熱材を入れ外気温の影響を極力抑える構造に。そのため、『光冷暖FIRST System』の熱効率もさらに高まっている。  リノベーション工事自体はCANADOO社が行い、オーナーのYさんのご理解の下、Cascadia Eco Homes社の『光冷暖FIRST System』が採用された。

(取材 笹川 守)

 

 

CANADOO社の現場責任者の桜井友紀子さん(左)、Cascadia社代表の吉武政治さん(右)。省エネ住宅リノベーションを終えたYさん邸の前にて

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