このイベントは在バンクーバー日本国総領事館主催で、バンクーバーで日本酒の普及活動をしているBC州日本酒協会SABCが共催した。先付け、寿司、メイン、デザートと用意された料理に、主張しすぎず、かといって、単なる引き立て役にはおさまらない極上の日本酒9種がコラボされた。

素材と味と見た目の芸術性。それらが三位一体となっている料理の一品一品に、趣向が凝らされ、繊細かつ大胆な逸品揃い。これまで経験したことのない味わい深い料理に、テーブルについた料理の専門家たちも、うなるしかなかった。

それらの料理をより一層引き立てたのが、供された日本酒の数々。先付けには、その繊細さを壊さず主張しすぎないすっきりとした切れのある日本酒を、大胆な味付けの料理には、香りと味にパンチのある日本酒をと、どちらもが引き立つように料理人と日本酒ソムリエが計算し尽くした、まさに日本のおもてなしを感じさせる奥深い和食と日本酒のコラボとなっていた。

 

この日のために用意された極上の日本酒9種

 

それを敏感に感じ取っていたのは、この日招待された味に敏感なシェフやフードライターたち。参加者の一人、フレンチレストラン「タブルー」のマネージャー、アラン・カヌエルさんは、「料理と日本酒のペアリングが非常に良かった。それを体験できるとてもいい機会になった」と語り、この日の日本料理の中には、フレンチにも通じるものが随所にあって、「日本酒の提供を考えてもいいかなと思い始めている」と語った。

 

フォアグラ、アーティチョークや西京味噌など斬新な素材を使った寿司。協力参加したMikuレストランの松岡和也さんは、洋を取り入れつつ、和を失わない、独特の寿司の世界を演出し「バンクーバーでも受け入れられる寿司に挑戦した」と語った

 

主催した在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏は、「日本食の今の新しい形、それと合わせて今の日本酒をプロモーションするのが、一番重要だと思う」と今回のイベントの趣旨を語り、レストラン関係者やフードライターなどを通じて、広く一般にその良さを知ってもらえればと、これからもこうした普及活動をしていくと語った。SABCとの協力については、BC州民がここで味わえる日本酒を紹介するということの重要性を強調し、「SABCの皆さんが扱っている日本酒、まさに、この地に根差した日本酒のプロモーションが重要だと思っています」と、それらを扱っているSABCとの協力が必要だと語った。

SABC代表白木正孝さんは、「日本の文化をきちんと伝えたいという岡田総領事の思いは、我々、酒を造る、輸入する側もまったく同じ」と今回のイベントに賛同した思いを語り、領事館などと協力しながら、自分たちの活動を充実させていくことが大事だと思うと語った。

SABCは、去年12月1日に発足したばかりだが、これからは「酒アンバサダー」という役割をもっと意識しながら、普及活動を活発化していきたいという。SABCブランドをきちんと伝え、それを広めてくれる人々に働きかけていく。

4月5日、6日に開催される桜祭りジャパンフェアにも参加する。そこでは、試飲という形だけではなく、日本酒を知ってもらうことを意識し、酒セミナーも開催する。「セミナー開催や、利き酒会などに積極的に動くつもりですので、是非、気楽に声をかけていただきたい、アンバサダーになっていただきたいと思っています」と語った。

(取材 三島直美)

 

先付けと日本酒3種。料理を担当した公邸料理人岩坪貢範さんは、専門家を相手に少し緊張したと終了後語った

 

 

紹介された日本酒

発泡にごり酒八海山―八海山
純米樽酒菊正宗―菊正宗酒造
純米吟醸「酒一筋」―利守酒造
鳳麟―月桂冠
天の戸亀の尾純米吟醸―浅舞酒造
極上吉乃川―吉乃川
華吹雪純米酒―神亀酒造
純米大吟醸古都千年―齊藤酒造
Yu Junmai All Koji―YK3 Sake Producer


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