2019年10月24日 第43号
10月5日に日本語認知症サポート協会主催のイベント“注文をまちがえるおれんじカフェ” がブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市のGreens Organic and Natural Marketで開催されたので早速お邪魔してきました。
日本で実施された「注文を間違える料理店」というイベントからヒントを得て開催する事になったのが、今回の “注文をまちがえるおれんじカフェ” イベントです。日本では、2017年6月東京都から認知症の方への理解を深めるために開始。ホームページによると「私たちのホールで働く従業員は、みんな認知症の方です。ときどき注文をまちがえるかもしれないことを、どうか承知ください」と書かれている。注文通りに料理がくるかわからない料理店。できない事に目くじらを立てるのではなく、おおらかな気持ちで料理が出てくるのを待とうとする料理店。
実は、このイベントに参加するにあたって一抹の不安がありました。それは、認知症のサーバーの方を見て、それを笑いの対象にしてしまうのではないかということ。注文を間違えることが許されるレストランという限られた空間の中で、笑いというフィルターを通して人間が人間を蔑む構造ができあがるのではないかと何かしらの不安があったからです。しかし、実際、参加してみるとそうではない。むしろ自分が思っていたような状況とは大きくかけ離れていました。ほのぼのした雰囲気で主催者/参加者が分け隔てるわけでもなく寛げる空間。日常の忙しさを忘れて週末にゆっくりできる空間だったという事。
このイベントで実感できた事は、本来、誰もがもっている心の中にある温かい気持ち。ゆったりと待つ。ありがとうと伝える。提供された食事も丹精こめられて作られたスローフードなご飯たち。豆や季節の野菜を塩そして少しの香辛料で味付けされた食事は優しく、シェフをしてくださったソノさんの人間の温かさを感じとれました。
ちなみに、サーバーをしてくださったTimさんは注文をとるときにはきちんとメモを取っていらしたので、注文を間違えることなく食事を提供くださいました。
最近、日本語認知症サポート協会は多くのイベントを主催しており、そのイベントを通じて知り合えた方々と同席し、9月21日に上映された「ぼけますから、よろしくお願いします。」を鑑賞してどう思ったのか互いに感想を言って振り返ったりと、この協会の活動が徐々にそして確実に根付いてきている事を参加者と共に実感できました。
最後に今回の主役サーバーを担当してくださったTimさんにお話を伺うと「こんなに楽しい土曜日はない。来週も来ていいですか?」とのこと。とても充実した時間だったとのことでした。
記念すべき第一回の注文をまちがえるおれんじカフェは、認知症への理解を深めるイベントとしてバンクーバーでの新しい扉が開かれたと思っています。日本語認知症サポート協会の皆さんは高齢者社会に様々な情報を提供してくれる新しい時代のパイオニア。今後の活躍が楽しみな人たちおよび団体です。
Y.P.
注文を間違える料理店ホームページ http://www.mistakenorders.com/
(投稿・写真提供 日本語認知症サポート協会)
一日だけの「注文をまちがえるおれんじカフェ」入口
第一回シェフ:Sono Ray さん
ワンプレートdishをサーブする サーバー: Timさん
美味しいスタッフミーティング
イベント限定:ふわりとろりビーガンプリン
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