2019年3月21日 第12号

 遅い春の訪れのバンクーバーで雪解けを待つ小生は、久々に書棚から数冊の本を取り出して読み始める。その一冊が、朝日新聞論説委員発行の『天声人語90』である。

 その中の1990年5月26日の天声人語「格調高いロ・テウ演説」が興味をひく。

 「情理を兼ねるという形容を思い出した、ロ・テウ韓国大統領の日本国家での演説。格調が高い『隣接した両国は未来志向的な関係を開くべきであると哀情』から『忌憚なき見解を披露する所存』と断っての演説だった」

 「だから日韓両国国民の間に『真の友情を阻む心の壁』依然として残っている、歯に衣着せずのべた。戦後45年、欧州が共同体を築きあげてきているいま、『不幸だった過去に対する認識と感情を整理できずにいます』とも証明した。」

 この時から、30年の歳月が流れて、我々はどのように進化したのであろうか? はたして今、私達は、過去のしこりを消し去ることができているのか?

 さらに、5月30日の天声人語の中から、「日本の訪問から帰国したロ・テウ大統領『日本が過ちを率直に認めて反省、謝罪した以上、我々はそれをおおらかな度量で寛大に受け入れ善隣友好の新しい時代をつくって行かねば為らない』」とある。

 6月になるとゴルバチョフソ連大統領がライサ夫人と共にアメリカを訪問している。新しい風が太平洋に吹き始めたのである。この時、ゴルバチョフ大統領は四つの自由を述べている。

 6月6日の天声人語から、「ワシントンでの米ソ首脳会談で、戦略核兵器の削減など多くの合意ができブッシュ米大統領とともに協定に調印した時の挨拶だ。歴史を考えさせる一瞬だった。『四つの自由』とは、米国大統領だったF・Dルーズベルトが語った言葉である。ゴルバチョフ氏もそう断って引用した。言論の自由、信仰の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由。戦争はこれらのために戦われている、とルーズベルト大統領は訴えた。」

 最後に「冷戦終結も改めて確認されたが『冷戦の大きな記念碑を壊すのは簡単ではないし、危険を伴う』(ゴルバチョフ氏)と慎重な姿勢も見えた。内政の困難を抱えたソ連に米政府の態度は協力的だった。『永遠の対立が歴史的現実』と思われた時代(ブッシュ氏)はもはや夢のようである。」とある。

 6月6日の天声人語では「たとえば将来この地域から、米軍が大幅撤退、と想定してみる。どこか特定の国が軍事的に大きな存在となることは、だれも好むまい。『新たな安全保障体制』という論にゴルバチョフ大統領は四月、早くも『米国の協力』を求めた。」とある。

 太平洋に新しい風が吹いたのは30年前のこと、今また太平洋に暖かな春の風が吹くのはいつのことであろうか?

 天の声は人の声なのか、それとも人の声は、天の声となるのであろうか、読者に聞いてみたい気がするのである。

 

 


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